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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.115

リー・モーガン『リー・モーガン Vol.3』(1957)

リー・モーガン(tp)
ジジ・グライス(as, fl)
ベニー・ゴルソン(ts)
ウィントン・ケリー(p)
ポール・チェンバース(b)
チャーリー・パーシップ(ds)

1957年3月24日録音、ニュージャージーにて録音

曲目:
01.ハサーンズ・ドリーム
02.ドミンゴ
03.クリフォードの想い出
04.メサビ・チャント
05.ティップ・トーイング

【アルバム紹介】
1.弱冠18歳の天才トランペッター、ブルーノートでの3枚目のリーダー作
2.メンバーは名手揃いの3管編成、全曲をテナー・サックスのベニー・ゴルソンが作曲
3.不滅の名バラード“クリフォードの想い出”収録

前回ご紹介のジョン・コルトレーンの『ブルー・トレイン』に続き、そこに参加していた天才トランぺッター、リー・モーガンのブルーノートでの傑作を紹介します。
この連載で過去に1964年の大ヒット作『ザ・サイドワインダー』を取り上げていますが(WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.7)、その7年前、弱冠18歳の時に発表したブルーノートでの3枚目のリーダー作が本作になります。

リー・モーガンという人は生涯を通じて、リーダー作をほぼブルーノート・レーベルに残しており、このアルバムはその初期傑作ということになりますが、その堂々たるプレイはとても10代とは思えず、まさに早熟の天才といえるものです。

参加メンバーはテナー・サックスにベニー・ゴルソン、アルト・サックスとフルートにジジ・グライス、ピアノにウィントン・ケリー、ベースにポール・チェンバース、ドラムスにチャーリー・パーシップという名手揃いの3管編成になっており、楽曲はすべて名ジャズ・コンポーザーでも知られるベニー・ゴルソンが作曲しています。

ハードパップ然としたハーモニーの楽曲が並びますが、その中でも、ゴルソンが作曲したジャズ史に残る不滅のバラード“クリフォードの想い出”が収録されていることで本作は有名といってもいいでしょう。
この曲はこのアルバムがレコ―ディングされる前年、1956年6月に不慮の自動車事故で25歳の若さで夭折したトランペッター、クリフォード・ブラウンを追悼してゴルソンが作曲し、今や名スタンダード・バラードとして定着した1曲になっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
名曲“クリフォードの想い出”=“アイ・リメンバー・クリフォード”。

この曲のジャズ界での知名度の高さや誕生の経緯は先述の通りです。ここでのリー・モーガンの名演を“初演”と思われている方も多いかもしれませんが、実はわずか11日前に、トランペッターのドナルド・バードと、本作に参加のジジ・グライスの双頭リーダー作『Jazz Lab』でレコーディングされた演奏が “初演”となっています。
邦題は“クリフォードの想い出”ではありますが、今は“アイ・リメンバー・クリフォード”と原題で表記されることもしばしば。
楽曲としては、テーマ・メロディ、コード進行、そしてアレンジともに完璧といえる出来で、そこに若きモーガンのプレイが加味された同曲の最高にして究極の名演といえます。
イントロはなく最初の1拍目で聴ける深みのあるハーモニーに続いて、モーガンが豊かなトーンで切なくハートフルなメロディを歌い上げてゆきます。テーマは無駄な音が一つもない、ドラマティックなもので、モーガンのソロもセンス抜群のフレージングでつないでゆきます。その後ウィントン・ケリーのピアノ・ソロとなり、やがてテーマが回帰、モーガンがエンディングへと導いてゆきます。
90年代終わり頃、月曜深夜に水野晴郎さんの解説でオンエアされていた『麹町名画座』という映画番組がありました。そのテーマ曲として使われていたのが、このリー・モーガンの演奏でした。当時を思い出すと、深夜と名画という組み合わせが生み出す特別な時間にこのジャズ・バラードのメロディはすごくマッチングしていたように思えます。

国内盤SHM-CD(一般普及盤)

 

国内盤UHQCD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2021年02月12日 10:00