85歳を迎える巨匠ハイドシェックが再びバッハに挑む!フランス組曲第1,2,4番、他
ハイドシェック、待望の新録音!
今年(2021年)85歳を迎える巨匠ハイドシェックが再びバッハに挑む!
2021年の9月に85歳を迎える、愛すべき巨匠「エリック」待望の新録音。
2018年発売の、「バッハ~ベートーヴェン~バッハ」(SAKURA-11)に続き、再びバッハに戻りました。原点、終着点としてのバッハです。
巨匠の真っ黒に書き込まれたスコア研究を経たものの、聴こえる音はバッハへの慈しみに満ちた極めて美しいものです。
作曲家ハイドシェックにも注目。フランスの詩人、モーリス・クーロンの詩に触発された自作の前奏曲集、そしてドビュッシーの名作「亜麻色の髪の乙女」も聴き逃せません。
曲目解説はハイドシェック自身によって書かれましたが、ウィットに富んだ極めて独創的なものです。
巻頭のエッセイに今年(2021年)3月29日に逝去された、コルトオ(コルトー)同門の遠山慶子さんの遺稿を使用いたします。
(キングインターナショナル)
ハイドシェックのバッハ、自作、ドビュッシー
このCDをプレイされた方は、スピーカーからこんこんと溢れ出す、温かく、優しく、親密な音楽に、たちまちにして魅了されてしまうことと思います。
今年(2021年)8月に85歳となるエリック・ハイドシェックは、フランス音楽界のレジェンド。伝説的なピアニスト、アルフレッド・コルトーの愛弟子で、1955年のデビュー以来、活動歴は実に65年を超えています。バッハ、ヘンデルに始まり、得意としたモーツァルト、ベートーヴェン、そしてフランス近代音楽から自作までの幅広いレパートリーで数々の名演を示し、その芸術は100枚を超えるLPやCDに刻み込まれてきました。このバッハには、まさに彼の芸術の到達点ともいえる境地が示されています。
聴き手に語り掛けるようなフレージングとイントネーション、人間の心が滲みだした温かみのある音色、丸みを帯びた珠玉の音の粒、生きて弾むリズム、豊かな詩情・・・。ときに指のほつれは見られるものの、ハイドシェックはバッハの音楽を通じて人間感情のすべてを、移り変わる情景や陰翳を、青年のような初々しい感受性で紡ぎ出してゆきます。
ここにあるのは、深く大きな音楽そのもの。CDを通じて巨匠が聴き手ひとりひとりに親しく語り掛ける音楽です。彼がまったくマイクを意識することなく、音楽に深く集中しているのは、録音からときおり小さな音で聞こえてくる彼の歌い声やつぶやきに表れていると思います。
余白には2003年のライヴ録音で、ハイドシェックの自作自演とドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」が入っています。バッハとはまるで異なる鮮やかで冴えた音色で弾かれているので、一聴してバッハの音楽との様式の違いが直観的に理解されます。そして、その後にドビュッシーの音楽が弾かれることで、彼の音楽のルーツがドビュッシーを始めとするフランス近代音楽にあることも、また理解できるのです。彼は2018年の来日時でもアンコールでバッハとドビュッシーを続けて弾いて、同じことを感じさせてくれました。
これは彼の演奏会に接したことが無い方にも、ハイドシェックという比類ないピアニストを知る上で欠かすことのできないCDと言えるでしょう。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
書き込みで真っ黒になったフランス組曲のスコア
SAKURA12(CD)
DDD 50'14
日本語帯・解説付
ハイドシェック バッハ:フランス組曲 Ⅱ
(1)J.S.バッハ:フランス組曲第4番 変ホ長調 BWV815
(2)J.S.バッハ:フランス組曲第2番 ハ短調 BWV813
(3)J.S.バッハ:フランス組曲第1番 ニ短調 BWV812
(4)エリック・ハイドシェック:モーリス・クーロンの詩による前奏曲集「4大元素~海」全曲【「海は語る」~「貝殻」~「渡り蟹」 ~「お気に入りの鳥」~「ノワルムチエ島」~「漂流物」~「哀しみの海」】
(5)ハイドシェック:モーリス・クーロンの詩による前奏曲集「4大元素~大地」より第6曲「心満たされる風景」
(6)ドビュッシー:前奏曲集第1巻より「亜麻色の髪の乙女」
【演奏】
エリック・ハイドシェック(ピアノ)
【録音】
(1)-(3)2019年5月&6月/ビュシェール、フランス(セッション)
(4)-(6)2003年8月18日/草津国際音楽祭(ライヴ)