ヴィオラ版バッハ無伴奏に画期的な名盤誕生!安達真理によるト調でまとめられた無伴奏組曲&パルティータ!
安達真理のト調でまとめられたヴィオラ版バッハ無伴奏によるトリプティーク!
かつてない感動作が登場!
インスブルック響で副首席ヴィオラ奏者を務めたのち、パーヴォ・ヤルヴィ率いるエストニア祝祭管に参加するなど海外でも活躍を続け、今年度より日本フィルハーモニー交響楽団の客演首席奏者に就任した実力派・安達真理。『Winterreise 冬の旅』(ART-3150)に続くセカンド・アルバムはバッハの無伴奏曲に挑戦!それも従来よくあった、無伴奏チェロ組曲のヴィオラ版をまとめただけではなく、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番のヴィオラ版を交えた、画期的なアルバムとなりました。
まず挙げられるのは、ここにまとめられた3曲がヴィオラ版に移調されすと、すべてト調で統一されることです。
(1)無伴奏チェロ組曲第1番 原調 ト長調 → ヴィオラ版 オクターヴ上のト長調
(2)無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 原調 ニ短調 → ヴィオラ版 4度下のト短調
(3)無伴奏チェロ組曲第6番 原調 ニ長調 → ヴィオラ版 4度上のト長調
このト長調→ト短調→ト長調の流れの素晴らしさ、シンメトリー構造、トリプティーク(三連画)として新しい意味をもたせたアイディアが卓越していると思います。CD上ではおそらく初の試みではないでしょうか。
加えて、この3曲をまとめて聴くときに与える音楽的効果を特筆したいと思います。(1)がオクターヴ高く演奏されることで、ヴィオラのイメージを超えて、非常に輝かしく、晴れやかに鳴り響くこと。もちろん、ヴィオラ版ならば、誰でもオクターヴ高く演奏する訳ですが、彼女はこの効果を明らかに意識し、演奏でも、舞踏楽章群でのくっきりとしたリズムの表出、徐々に勢いを増してゆく表現を通じて、終楽章ジーグでの光輝と高揚に結びつけています。
(2)の4度低められたト短調パルティータは、光輝に満ちた(1)の後だけに、いっそうこの作品の受難曲的なイメージを深めています。そして彼女の演奏の素晴らしさ!冒頭のソの音がなんと意味深く、「警告」のように響くことでしょう。筆者など聴いていて思わず慄然とするばかりでした。この演奏を聴いていて、譜面のゲマトリア(数秘術)解析から、バッハはこの曲に妻マリア・バルバラの追悼の意味を込めたとの説を思い起こしました。ヴァイオリン版を含めて、この作品の最も内容的に深い演奏、感動的な演奏の一つと言えるでしょう。
そして(3)最後の4度高められたト長調組曲の喜ばしさ!この曲の原曲はもともと5弦チェロのために書かれており、通常の4弦のチェロでは演奏至難なことで知られています。このヴィオラ版は、チェロで無理に演奏されるよりも、よほど自然に楽器が鳴りきっている印象を受けます。もともと高音域が多用される晴れやかな明るさに満ちた作品ですが、それが安定した技巧と豊かな発音による演じられる喜びは大きく、このアルバムの「過去・現在・未来」ともとれるトリプティークの感動的な締めくくりとなっています。
(タワーレコード 商品本部 板倉重雄)
ヴィオラで巡るバッハの世界!
192KHz / 32bit 高解像度レコーディング。
さらに特典として192KHz / 24bitハイレゾ音源2曲が楽しめるダウンロード用QRコード付き!
インスブルック響で副首席ヴィオラ奏者を務めたのち、帰国後もパーヴォ・ヤルヴィ氏率いるエストニア祝祭菅に参加するなど海外でも活躍を続け、今年度より日本フィルハーモニー交響楽団の客演首席奏者に就任した実力派の安達真理。
自身2枚目のアルバムとなる今作で収録されたのは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番、そして無伴奏チェロ組曲第6番。ヴィオラではオリジナルを移調して演奏することがほとんどであるが、そうした場合に、この3作品が全て「ソ」から始まる。それを長調・短調・長調と並べることで、ストーリー性が浮かび上がってくる。
リサイタルのプログラミングで定評のある安達。その場に居合わせた人からは「癒された」「具合がよくなった」「涙が出た」などの称賛の言葉が贈られる。そんな彼女が目指すヴィオラの「共感力」が、この作品に詰まっている。そこに込められた想いは、2020年という「特別な時代」とも無関係ではないだろう。
そして、演奏者が真摯に作品と対峙している空気感をここまで感じ取れるのは、ティートックレコーズのスタジオでの録音だからこそとも言える。物質的な感覚を超えた、音そのものを堪能してほしい。
(ティートックレコーズ)
【収録内容】
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ :
無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV 1007(ヴィオラ編)
1. I Prélude
2. II Allemande
3. III Courante
4. IV Sarabande
5. V Menuet I-II
6. VI Gigue
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV 1004(ヴィオラ編)
7. I Allemande
8. II Courante
9. III Sarabande
10. IV Gigue
11. V Chaconne
無伴奏チェロ組曲 第6番 BWV 1012(ヴィオラ編)
12. I Prélude
13. II Allemande
14. III Courante
15. IV Sarabande
16. V Gavotte I-II
17. VI Gigue
※ ハイレゾ音源2曲が楽しめるダウンロード用QRコード付き!
【特典】 192KHz/24bitハイレゾ音源(ダウンロード)
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第2番 BWV1004 より
7. I Allemande 11. V Chaconne
安達 真理 (ヴィオラ)
東京を拠点に、ソリスト、室内楽奏者として幅広く活動するなか、2021年4月日本フィルハーモニー交響楽団ヴィオラ客演首席奏者に就任し、ますますの活躍が期待されている。
録音作品も、2018年に『Winterreise』(ART UNION) を発表。本作が初のメジャー・レーベル・アルバムとなる。
2019年に若手音楽家の登竜門として知られるリサイタル・シリーズ、東京オペラシティ文化財団主催「B→C」に出演。その後も精力的にヴィオラ・リサイタルを開催し、コンセプトを大事にするユニークなプログラミングに定評がある。
桐朋学園大学卒業、ウィーン国立音楽大学室内楽科を経てローザンヌ高等音楽院ソリスト修士課程修了と国内外で研鑽を積み、ヴァイオリンを篠崎功子、ヴィオラを店村眞積、ジークフリート・フューリンガー、ギラッド・カルニ、今井信子、室内楽をヨハネス・マイスルの各氏に師事。
2013年からインスブルック交響楽団にて副首席奏者を2年間務め、バンベルク交響楽団に客演したこともある。
2016年よりパーヴォ・ヤルヴィ氏率いるエストニア・フェスティバル管弦楽団に参加し、2019年の来日ツアーでは、各地で行われた全てのプレコンサートにおいて、五嶋みどり氏とモーツァルトの二重奏曲を披露した。
テレビ朝日『題名のない音楽会』などのメディア出演のほか、2019年には熊本城ホール開業記念公演で坂本龍一、藤原真理の各氏とピアノ・トリオを演奏し、その模様はNHK-BSプレミアムで放送され話題となった。
オフィシャルサイト https://www.mariadachi.com