『激ロック』スペシャルコーナー【10月レコメンドアイテム】
BULLET FOR MY VALENTINE / 『Bullet For My Valentine』
GENRE:METALCORE, METAL
最凶最重の“BULLET 2.0”サウンドを鳴らす、渾身のセルフ・タイトル・アルバム!
セルフ・タイトルを冠した通算7作目のアルバムは、バンド史上最もヘヴィでアグレッシヴと言える作風に仕上がった。否が応でもテンションの上がるイントロから怒濤のスラッシュ・チューンへと繋がるTrack.1、そしてBFMVらしさと新鮮さが同居するアンセムのTrack.2と、冒頭から新たなバンドのスタイルを感じさせる。鋭利なリフが初期を思わせるTrack.4やTrack.10、メロディックで叙情的なアレンジが前作『Gravity』にも通ずるTrack.5、グルーヴィに振り切った新境地のTrack.8など、これまでのキャリアで培ってきた要素を下地に、さらに洗練された新たなBFMV像を展開している。自ら“BULLET 2.0”を掲げるに相応しい、転換点となり得る作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
DREAM THEATER / 『A View From The Top Of The World』
GENRE:PROGRESSIVE METAL
プログレッシヴ・メタルの最高峰、DREAM THEATERが描く頂点の景色――
極限の超絶技巧と壮大なメロディが交錯する15thアルバム!
ロックダウンの最中にプライベート・スタジオで制作された、DREAM THEATERの15作目となるスタジオ・アルバムが完成! ミキシングとマスタリングは今回が初タッグのAndy Sneapが担当しており、クリア且つパワフルな音像で各パートの細かなニュアンスも堪能できる。宇宙進出をテーマに目まぐるしく展開するTrack.1に始まり、複雑なアンサンブルにエモーショナルな歌メロが映えるTrack.4、ポップな側面を際立たせたTrack.5、初導入の8弦ギターで新機軸のヘヴィネスを追求したTrack.6、そしてバンドならではの20分超のラスト・トラックと、“新しさ”と“らしさ”を持ち合わせた快作だ。既存のファンはもちろん、本作から深遠なるDTの世界に踏み入れてみるのも悪くないだろう。
菅谷 透【ライター推薦】
MANESKIN / 『Teatro D'Ira Vol. I』
GENRE:HARD ROCK, GLAM ROCK, RAP ROCK
“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021”優勝!
イタリア発Z世代バンド、MANESKINがロックの未来を照らす2ndアルバム発表!
Z世代のイタリアのロック・バンド MANESKINの2ndアルバムのテーマはアイデンティティの確立と抑圧への反発。ヨーロッパ最大の音楽の祭典“ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト2021”で彼らを優勝に導いたアンセム「Zitti E Buoni」で幕を開け、ロックとラップが見事に融合した「Lividi Sui Gomiti」、溢れる愛欲をシンプルながらクセになるリズムに乗せた「I Wanna Be Your Slave」が続き、最後にロック・バラード「Vent'anni」で何者かになろうと藻掻く、彼らと同年代の“Vent'anni=20歳”の若者たちに寄り添う。この音楽性の幅広さとメッセージ性の強さをこの年齢で具現化できるとは、ロックの未来は明るい。
内堀 文佳【ライター推薦】
TRIVIUM / 『In The Court Of The Dragon』
GENRE:METAL
現行メタル・シーンを語るうえで外せない圧巻の10thアルバム!
前2作同様プロデューサーにJosh Wilburを迎えた、通算10作目(!)の新作では、4thアルバム『Shogun』のようなプログレッシヴな成分も増加。正統派メタルから、スラッシュ/デス/ブラックなどのサブジャンルまで千変万化し、攻撃的でありながらメロディックで壮大な楽曲を奏でている。さらに今作ではEMPERORのフロントマン Ihsahnがオーケストレーションを担当。バンド・アンサンブルにそっと寄り添い、作品をよりドラマチックな雰囲気に引き上げている。アンセミックなクリーンが冴えわたるTrack.2、鋭いリフから息を飲むほどのスリリングなソロ・バトルになだれ込むTrack.5、荘厳なフィナーレを迎えるTrack.10と、終始聴き応え十分。現代のメタルを語るうえで外せない作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
ANGELS AND AIRWAVES / 『Lifeforms』
GENRE:PUNK ROCK, ALTERNATIVE ROCK
Tom DeLonge(ex-BLINK-182)率いるANGELS AND AIRWAVES!
スペーシーな雰囲気とパンクのエッセンスが共存する約7年ぶりのスタジオ・アルバム!
Tom DeLonge(ex-BLINK-182)率いるパンク・ロック・バンド ANGELS AND AIRWAVESが約7年ぶりにリリースした6枚目のスタジオ・アルバム。全体を通して、特にシンセやコーラスのサウンドから、熱心に宇宙の研究に携わるDeLongeならではのスペーシーな雰囲気が感じられる。しかし、彼が少年期に聴いて強く影響を受けたパンクのエッセンスも確かに共存しているほか、歌詞では人間関係や、今までは言及を避けてきたという昨今の社会情勢について歌っているこのアルバムは、地球に住む我々にとって非常に身近な作品と言える。だからこそ、夜空を見上げながらその向こうにあるかもしれない、このような悩みや問題から解放されたどこか遠く離れた場所に思いを馳せたくなる1枚だ。
内堀 文佳【ライター推薦】
THRICE / 『Horizons/East』
GENRE:POST HARDCORE, ALTERNATIVE ROCK
THRICEの挑戦的な姿勢があらゆる形で表現されたダークな浮遊感溢れるニュー・アルバム完成!
カリフォルニアを拠点に活動するポスト・ハードコア・バンド THRICEが自身のNew Grass Studioでレコーディングを行った11枚目のスタジオ・アルバム『Horizons/East』は、様々なしがらみや既成概念から逃れるために、広大な世界を彷徨う冒険を描くような1枚に仕上がった。Dustin Kensrue(Vo/Gt)が紡ぎ出す歌詞に加え、全体を通してダークな浮遊感が溢れるサウンドが、その情景をより鮮明なものにしている。さらに、ジャズの要素を取り入れてみたり、音楽とは離れた数学のエッセンスをもとにギター・リフを作ってみたりと、作曲面でも実験的な作品となっており、常に未知の空間に踏み出していきたいというバンドの姿勢があらゆる形で表された。
内堀 文佳【ライター推薦】
GUS G. / 『Quantum Leap』
GENRE:HEAVY METAL, MELODIC SPEED METAL
ギター・インスト好き必聴!
新世代ギター・ヒーロー、GUS G.がコンポーザーの才能も発揮させた新作ドロップ!
現代ギタリストの中でもトップクラスの技術を誇り、自身が率いるバンド FIREWINDのみならず、Ozzy Osbourneなど多くのアーティストとの仕事でも知られているGUS G.。前作『Fearless』(2018年)はDennis Ward(ex-PINK CREAM 69)をベーシスト兼ヴォーカリストに招いて歌モノも多く含まれる作品であったが、ソロ第4弾となる今作は完全にインストゥルメンタル曲のみで構成された、ギター・インスト好きには垂涎の1枚となった。圧巻のテクニックとメロディアスなギター・プレイの見事さは言及するまでもないが、メタルに留まらないコンポーザーとしての才能をも存分に発揮させた楽曲群に、多くのギター・キッズが憧れを抱くであろう。
井上 光一【ライター推薦】
VENUES / 『Solace』
GENRE:POST HARDCORE
ドイツ発男女ツインVoポスト・ハードコア・バンド、VENUES!
迫力のサウンドとポップネスの融合に磨きを掛け、多彩な楽曲を表現する新作リリース!!
ドイツ発、男女ツイン・ヴォーカルのポスト・ハードコア・バンド VENUES。2018年にリリースされたデビュー・アルバムで、すでに完成度の高さを見せていた彼らだが、今作ではその迫力あるサウンドとポップネスの融合という特徴にさらに磨きを掛けてきた。女混声でシャウトやラップなども織り交ぜた緩急のあるヴォーカル・ワークだけでなく、メロディアスなギターも日本人好みで、わかりやすくノレる楽曲が多い。“女性の方、歌い方変わった?”と思ったら、どうやらメンバー・チェンジがあったようだが、新ヴォーカルのLelaも表現力の高いパワフルな歌声の持ち主で、バラエティに富んだ今作にはピッタリだ。メタル・ファンだけでなく、女性ヴォーカルもののロックが好きな方ならハマること間違いなし!
山本 真由【ライター推薦】
Anette Olzon / 『Strong』
GENRE:POST HARDCORE
Anette Olzon(THE DARK ELEMENT/ex-NIGHTWISH)2ndソロ作!
ハイクオリティな北欧メタルで新たな魅力を生み出した好盤到着!
元NIGHTWISH、現在はTHE DARK ELEMENTなどのバンドでも活躍しているスウェーデンが誇る歌姫、Anette Olzonが7年ぶりにリリースした2作目のソロ作。Anetteの圧巻の歌唱力と表現力を兼ね備えた可憐な美声を軸として、いかにも北欧らしいパワフル且つシンフォニックなメタルの醍醐味を味わえる楽曲がずらりと並び、時にグロウルも導入したヘヴィ且つメロディックな北欧メタルのクオリティは、さすが作曲とプロデュースを担ったPRIMAL FEARのギタリスト、Magnus Karlssonの確かな仕事ぶりといったところか。DIMMU BORGIRやIN FLAMESにインスピレーションを得たという、Anetteの新たな魅力を引き出した好盤である。
井上 光一【ライター推薦】
TOXICROSE / 『In For The Kill』
GENRE:HARD ROCK, SLEAZY ROCK
スウェーデンのスリージー・ハード・ロック・バンド、TOXICROSE!
現代的な質感も北欧らしさも採り入れた、徹底した音作りに大満足の最新作!
2016年にデビュー・アルバム『Total Tranquility』をリリース、界隈で話題を呼んだスウェーデン産4人組の最新作2nd。我が道を行く派手なルックスが“体は音を表す”が如き痛快なスリージー・ハード・ロック・サウンドは今作でも健在で、自分たちが鳴らすべき音を骨の髄まで理解しているのであろう徹底した音作りは清々しいほどである。同時にヘヴィなギター・リフは現代的な質感を持ち、キャッチーなメロディと適度に導入されたシンセの音色には北欧らしい湿り気をほのかに感じさせる。骨太なベース・ラインがタイトなバンド・アンサンブルの中で時に重く、時にしなやかなグルーヴを演出しているのもポイント高め。期待を込めて新作を待っていたファンなら大満足の1枚だろう。
井上 光一【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2021年10月22日 13:39