WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.160
ズート・シムズ『ストレッチング・アウト』(1959)
ズート・シムズ(ts)
ハリー・エディソン(tp)
ボブ・ブルックマイヤー(vtb)
アル・コーン(ts, bs)
ハンク・ジョーンズ(p)
フレディ・グリーン(g)
エディ・ジョーンズ(b)
チャーリー・パーシップ(ds)
1958年12月27日、ニューヨーク録音
曲目:
01.ストレッチング・アウト
02.ナウ・ウィル・ユー・ビー・グッド
03.ペニーズ・フロム・ヘヴン
04.キング・ポーター
05.浮気はやめた
06.ビー・ケイ
【アルバム紹介】
1.ズート・シムズとボブ・ブルックマイヤーの双頭オクテットによる「美人ジャケ」名盤
2.名手揃いのメンバー8人編成の軽快なセッション
3.オリジナルは1曲のみ、他はオールド・ジャズを含むスタンダード・ナンバー
2022年最初のWEEKEND JAZZになります。本年もよろしくお願いいたします。
新年最初は「美人ジャケット」名盤を特集してゆきます。
今回取り上げるのは、横たわる美女がこちらをチラリ、というジャケットも印象的なテナー・サックスのズート・シムズとヴァルヴ・トロンボーンのボブ・ブルックマイヤーの双頭オクテットによる軽快な1枚です。
8人編成のメンバーはトランペットのハリー・エディソン、テナー&バリトン・サックスのアル・コーンといった計4人の管楽器奏者がフロントに構え、ピアノのハンク・ジョーンズとリズム・ギターのフレディ・グリーンら、名手揃いのメンバーによるセッションになっています。ちなみに、ジャケットにあるメンバー表記「ナット・ピアース」はハンク・ジョーンズの間違いです(当初予定されていたといった理由からこうなったのでしょうか)。
演奏は1曲目にブルックマイヤーのオリジナルがありますが、他はスタンダード中心となっており、中でも4曲目のジェリー・ロール・モートンの楽曲や、5曲目のファッツ・ウォラーの楽曲などオールド・ジャズ系のナンバーを持ってきているせいか、どことなくニューオーリンズ/ディキシーランド・ジャズのスイング感を思わせる演奏になっています。
【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ボブ・ブルックマイヤーによるブルース・ナンバー“ストレッチング・アウト”。
通常ズート・シムズのアルバム、として知られている本作ですが、作曲やアレンジなどの活躍ぶりを見るとボブ・ブルックマイヤーによるところが大きいです。
タイトル曲は12小節のメジャー・ブルース・ナンバーで、ブルックマイヤーが作曲した本作中で唯一のオリジナル曲になっています。
ブルース進行ゆえ、メンバーがそれぞれソロ回しで、持ち味を存分に披露した演奏になっています。そこには、ブルックマイヤーによるアレンジによって、8人編成を生かしたバリエーション豊かなアンサンブルのキメやフレージングが散りばめられており、単調なバッキングに終始していない1曲に仕上がっています。
ジャズの世界では、管楽器をフロントに置いた編成だと、カルテットやクインテットが圧倒的に多いですが、本作はオクテットという、ややラージ型のコンボの妙が楽しめるアルバムと言えます。
国内盤CD
タグ : WEEKEND JAZZ
掲載: 2022年01月07日 10:00