『激ロック』スペシャルコーナー【7月レコメンドアイテム】
ARCH ENEMY / 『Deceivers』
GENRE:MELODIC DEATH METAL
進化を続ける“王道”の凄み――
2020年代に放たれるARCH ENEMY待望の最新作!
先行公開されていた「Handshake With Hell」を聴けばわかるように、前作に引き続き本作でもクリーン・パートを導入している。基本的にはグロウル中心ではあるが、Alissa White-Gluzの“美麗なソプラノ・ヴォイス”という、もうひとつの持ち味も生かす方向へと舵を切ったのだろう。サウンド面については今まで以上にクラシカルなヘヴィ・メタルへと接近しつつ、トレードマークのテクニカル且つ叙情性豊かなギター・フレーズがこれでもかと迫りくる、暴虐と哀愁とが交差するARCH ENEMY流儀のドラマチックなサウンドは健在である。鉄壁のリズム隊による緩急自在のヘヴィ・グルーヴもさすがのひと言。25年以上に及ぶキャリアの中で常に王道を歩みながらも、進化を続ける姿に拍手を送りたい。
井上 光一【ライター推薦】
THE HALO EFFECT / 『Days Of The Lost』
GENRE:MELODIC DEATH METAL
IN FLAMESの歴代メンバーが集結!
メロディック・デス・メタルをリブートする衝撃のデビュー作!
IN FLAMESの創始者であるJesper Strömblad(Gt)をはじめ、現DARK TRANQUILLITYのMikael Stanne(Vo)など、バンドに関わりのあったメンバー5人がスーパー・グループを結成した。あの名曲を彷彿とさせるTrack.2を筆頭に、フォーキーなメロディが美しいTrack.3、疾走感溢れるTrack.4と、メロディ・センスと攻撃性を絶妙なバランスで構築したサウンドは絶品。クリーンVoが映えるTrack.5や、かねてよりIN FLAMESからの影響を公言していたTRIVIUMのMatthew Kiichi HeafyをゲストVoに迎えたTrack.9なども聴き応え十分だ。音楽活動を始めた当時の衝動を蘇らせ“メロデス”をリブートしたかのような快作。
菅谷 透【ライター推薦】
MOTIONLESS IN WHITE / 『Scoring The End Of The World』
GENRE:LOUDROCK, POST HARDCORE
MOTIONLESS IN WHITEが多彩なゲスト迎えダイナミックに進化した新作ドロップ!
ゴス・ファッションとダークな世界観で独自の道を突き進んできた彼らの新作は、これまでの方向性をそのままに、多彩なゲストとの共演や新しい価値観を通して、ダイナミックに進化したものとなった。BEARTOOTHのCaleb Shomo(Vo)やKNOCKED LOOSEのBryan Garris(Vo)だけでなく、ゲーム音楽の世界で活躍する、サウンド・デザイナーのMick Gordonが参加しているというのも、エレクトロニック/インダストリアルの要素を用いながらドラマチックな楽曲を生み出してきた彼ららしく、面白い。ヘヴィでゴリゴリなパートも甘く切ないパートもキャッチーでノリのいいパートもあって、自然と感情が揺さぶられる。バンドの深淵を覗くような、惹きこまれる作品だ。
山本 真由【ライター推薦】
SHINEDOWN / 『Planet Zero』
GENRE:HARD ROCK, METAL
SHINEDOWNがディストピア的世界を警告する
ハイ・コンセプトな約4年ぶりとなる最新作リリース!
これまで全アルバムでプラチナム/ゴールド・ディスクを獲得し、名実ともにアメリカのヘヴィ・ロックを代表するバンドに君臨するSHINEDOWNの、約4年ぶりとなる新作。SFチックなSEから強烈なファスト・ナンバーのTrack.2で幕を開ける本作は、SHINEDOWNならではのグルーヴィな楽曲はもちろん、壮大なバラードのTrack.10やTrack.15、叙情的なTrack.11、ポップな側面も見せるTrack.14、終末の狂騒をアップテンポに鳴らすTrack.18など、多彩な楽曲を収録。随所に挟まれたロボットによる語りも、ディストピア的世界を警告する作品コンセプトを強化している。SEを含めて全20曲(+ボートラ)というボリュームだが、ぜひアルバムというパッケージで体感してほしい作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
SLASH FEAT. MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS / 『4』
GENRE:HARD ROCK, HEAVY METAL
ぶれない痛快なロックを堪能できるSLASHソロ最新作が堂々完成!
ロック・ギタリストの最高峰としてシーンのトップを走り続け、世界中のミュージシャンたちからリスペクトされるSLASHが、通算5枚目となるソロ最新作をリリース。タイトルの“4”は現在の名義となってから4枚目という意味で、2012年にリリースした本名義1枚目の『Apocalyptic Love』から10年目の節目にあたる記念すべき作品だ。時にハードに、時にメロディアスにアメリカン・ロックの粋を表現するSLASH印のギター・ワーク、実力派ヴォーカリストのMyles Kennedy(ALTER BRIDGE)による突出した歌唱力で魅せるメロディ、緩急自在のアンサンブルを軸としたサウンドはぶれることはなく、痛快なロックのお手本のような楽曲群を思う存分楽しめる1枚である。
井上 光一【ライター推薦】
HATRIOT / 『The Vale Of Shadows』
GENRE:THRASH METAL, DEATH METAL
Steve “Zetro” Souza(Vo/EXODUS)の面影を残しつつ
デス・メタル由来のブルータリティを際立たせた、HATRIOTの意欲作が到着!
Steve “Zetro” Souza(Vo/EXODUS)の息子ふたりによるバンドといった説明も今や不要。通算4枚目にして新生HATRIOTとしては2枚目となる最新アルバムである。父親に激似のダーティなヴォーカルと、ベイエリア・スラッシュの血統を如実に示す、硬質でソリッドなリフの刻みを軸としながらも、本作ではデス・メタル由来のブルータリティが今まで以上に全面に押し出されており、メタルコアやグルーヴ・メタルといったジャンルの影響をも感じさせる音が特徴だ。哀愁を帯びたインスト・ナンバー「Murderous Tranquility」も堂々たる出来栄えで、偉大な父親の面影を残しながらも実力派の若手が試行錯誤を重ねて作り上げた、意欲的な作品として評価したい。
井上 光一【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2022年07月20日 10:44