TOWER RECORDS LOVES...山下達郎『FOR YOU』
82年、山下達郎のオリジナル作品通算6作目。いわずと知れた世界的シティポップブームのアイコン的アルバム。
アナログ盤(180g重量盤)
カセットテープ
CD
いまさらこの名盤についてあーだこーだ述べるのも蛇足の極みではございますが、皆さま何卒ひとつよしなに。
この作品の前作、80年の『RIDE ON TIME』が自身初のアルバムチャート1位を獲得、いよいよ全国区でのブレイクを果たしたタツローさん。それに伴いレコーディング予算も大幅アップ、当時最高峰のミュージシャンを集め、自身が納得いくまで作りこんだ本作は、ソロデビュー以降の初期・山下達郎の集大成であり、またソウルメイト=吉田美奈子とのコラボレーション最終作でもある。
まずは何といっても1曲目”SPARKLE”冒頭のブライトなトーンで弾かれるギターカッティングに問答無用でやられてしまう。歌詞にある”女神たちのドレスに触れた~”は、”その指が触れた途端に何もかもが変わってしまう”と歌った05年のシングル曲”MIDAS TOUCH”を思わせる。
続く2曲目”MUSIC BOOK”や、代表曲のひとつでもある7曲目”LOVELAND,ISLAND”、和ものシーンでも人気のブギーディスコな9曲目”LOVE TALKIN’”、ファンク期の吉田美奈子を彷彿とさせる10曲目のヘヴィファンク”HEY REPOTER!”など、当時のフュージョン~クロスオーバーサウンドやコンテンポラリーなブラックミュージックを踏まえたダンサブルな楽曲での勢いといったら、まさに当時のタツローさんのイケイケぶりが伺える。
そう、本作のベースにあるのはこれら洋楽のフィーリングなのである。歌謡曲やフォークを出自とした同時代のニューミュージック勢とは決定的に違う。『FOR YOU』がシティポップのアイコン的作品として世界中で再評価されているのはズバリそこだと思う。シンコペートしまくるリズムに見事にフィットする日本語詞、それを歌うファルセットを交えたソウルフルなボーカル。簡潔に述べれば「聴いていて恥ずかしくならない日本語ポップス」をメジャーフィールドで示した作品が本作だと思う。
さて。ここまで書いておいて実は『FOR YOU』のキモはスロウにあり、とちゃぶ台をひっくり返しておこう。奥様・竹内まりやに提供した4曲目”MORNING GLORY”のセルフリメイクや、アルバムラストを飾る”YOUR EYES”など、タツローさんのアメリカンポップス愛が溢れまくった楽曲のエモさったら!そして極めつけは6曲目に鎮座するソウルバラード”FUTARI”だろう。徐々に熱を帯びていくタツローさんのボーカル、多重コーラスの素晴らしさもさることながら、それに寄り添う名手・佐藤博のリリカルなピアノ、、、これこそまさに”MIDAS TOUCH”。お後がよろしいようで。
<週刊ライドオンタイム編集部 タナタツ>
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山下達郎、11年ぶりのオリジナルアルバム『SOFTLY』
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