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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.207

ビル・エヴァンス・ウィズ・ジェレミー・スタイグ『ホワッツ・ニュー』(1969)

BJS

ビル・エヴァンス(p)
ジェレミー・スタイグ(fl)
エディ・ゴメス(b)
マーティー・モレル(ds)

1969年1月30日、2月3~5日、3月11日、ニューヨークにて録音

曲目:
01.ストレート・ノー・チェイサー
02.ラヴァー・マン
03.ホワッツ・ニュー
04.枯葉
05.タイム・アウト・フォー・クリス
06.スパルタカス 愛のテーマ
07.ソー・ホワット

【アルバム紹介】
1.個性あふれるフルーティスト、ジェレミー・スタイグとビル・エヴァンスの共演盤
2.ジャズの枠に収まらない、多彩なフルートの奏法
3.ゴメス、モレルによるエヴァンス・トリオでの初期レコーディング作

ビル・エヴァンスの“共演盤”、2枚目のアルバムは、個性あふれるフルーティストで知られたジェレミー・スタイグとの共演盤になります。

ジェレミー・スタイグは、6歳からリコーダーを始め、11歳の時に習い始めたフルートによってその後の自身の音楽人生を決定づけることとなり、その非凡なる音楽性を開花させてゆきました。
ジャズの世界ではアルト・サックス奏者が時としてフルートも吹き、という場合が多いですが、ジェレミー・スタイグの場合はフルートこそがメインの楽器で、その多彩な奏法は時にロックなど多岐のジャンルの垣根を超えてゆきました。言ってみれば、ジャズの枠に収まらない可能性を秘めたフルーティストだった、と言っても良いかもしれません。

本作は、ビル・エヴァンス・トリオとの共演盤で、その変幻自在な奏法を存分に堪能できるセッションになっています。
ビル・エヴァンス・トリオのメンバーはベースのエディ・ゴメス、ドラムスのマーティー・モレルで、70年代半ばまで活動をともにする顔ぶれの初期のレコーディングになっています。
楽曲は3曲のスタンダードに加え、セロニアス・モンクの“ストレート・ノー・チェイサー”やマイルス・デイヴィスの“ソー・ホワット”などもあり、映画『スパルタカス』の愛のテーマ、エヴァンスのオリジナル“タイム・アウト・フォー・クリス”の全7曲になっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
エヴァンスのスタンダード名演のフルート版“枯葉”。

シャンソンの名曲であり、ジャズ・スタンダードの定番中の定番“枯葉”はこのコーナーで過去に取り上げたビル・エヴァンスの傑作アルバム『ポートレイト・イン・ジャズ』(WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.3)にジャズ史に残る名演があります。本作の演奏はそのフルート版ともいうべき演奏です。
イントロはエヴァンス・アレンジの例のパターンで始まり、有名なテーマ・メロディーはフルートがとります。その後、すぐベース・ソロに移行し、続いてピアノのソロになります。アップテンポなビートに乗ってソロを発展させてゆきますが、高揚したところで、フルートのソロが加わり、見事なインタープレイを聴かせます。やがて、ピアノが伴奏をストップし、そこからアグレッシヴなフルート・ソロが始まりスリリングに展開してゆきます。
この“枯葉”の他にも、“スパルタカス 愛のテーマ”やマイルスの“ソー・ホワット”なども聴きどころです。
本作はフルートという楽器がジャズ・マナーの中でこんなにもいろいろな表現が出来るんだ、ということを知るととともに、ジェレミー・スタイグの比類のない才能を存分に伝えているアルバムであると言えます。

国内盤SHM-CD

 

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タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2022年12月09日 10:00