Willie Nelson(ウィリー・ネルソン)|カントリー界のレジェンドによる最新アルバム『I Don't Know A Thing About Love: The Songs of Harlen Howard』
2023年4月29日に90歳の誕生日を迎えるウィリー・ネルソンの最新アルバム『I Don't Know A Thing About Love: The Songs of Harlen Howard』。このニュー・アルバムにウィリーが彼のバンドとともに収めた10曲は、いずれもアメリカの音楽界に幾多の伝説を残したソングライター、ハーロン・ハワードの手になる名曲だ。ウィリーと同世代の音楽家でもあったハワードはまた、カントリー・ミュージックを「スリー・コードで語る真実」と定義したことでも知られている。ウィリー・ネルソンはそんなハワードの歌の数々に新鮮な解釈で取り組んでいる。
約60年にわたるキャリアを通じてハワードは、幅広い層のアーティストたちのために、数多くのポピュラー・ソングと、永遠の名曲と呼ばれるにふさわしいスタンダードを提供した。たとえば1961年には、その年だけで15曲をカントリー・チャートに送り込み、BMI(米・音楽著作権団体)アウォードを授与されている。1973年にはナッシュビル・ソングライター・ホール・オブ・フェイムに迎えられ、1997年にはカントリー・ミュージック・ホール・オブ・フェイムとソングライター・ホール・オブ・フェイムの双方に迎えられた。2002年、ナッシュビルで74年の生涯を閉じたハーロン・ハワードは、同市のシティ・セメタリーで眠っている。本作に収められた素晴らしいスタジオ・パフォーマンスによって、ウィリー・ネルソンはハーロン・ハワードが残した不滅の音楽的伝説を彼らしい新たな視点で示してくれている。収録された10曲のうち、ファースト・シングルでもある「Busted」は、1962年に書かれた極貧層農民が主人公の楽曲。期限切れの請求書、穀物の不作、資金難と、いくつもの悲劇が襲うなか、彼は未来への希望だけは捨てようとしない。トラブル連続の暗い物語を軽快なビートとキャッチーなメロディで歌ったこの曲は、翌1963年にヒットを記録。まず、ジョニー・キャッシュとカーター・ファミリーのヴァージョンがビルボード誌カントリー・シングル・チャートの13位まで上昇し、さらに印象的な出来事として、レイ・チャールズのシングルがビルボード誌ホット100で4位を記録しているのだ。レイ・チャールズはまた、2005年発表のデュエット・アルバム『ジーニアス&フレンズ〜ラスト・セレナーデ』に、ウィリー・ネルソンと歌ったこの曲のライヴ・ヴァージョンを収めている。1982年にビルボード誌カントリー・シングル・チャートで6位を記録したジョン・コンリーのカヴァー・ヴァージョンも忘れられない。
長年にわたってウィリー・ネルソンの音楽活動を支えてきたバディ・キャノンがプロデュースを担当した本作『I Don't Know A Thing About Love: The Songs of Harlen Howard』には、新録音の10曲が収められている。参加ミュージシャンは、ウィリー・ネルソン(トリガー=愛用のガット弦ギター、リード・ヴォーカル)、ラリー・パクストン(ベース、ティックタック・ベース)、ロニー・ウィルソン(ドラムス)、ボビー・テリー(アコースティック・ギター、エレクトリック・ギター)、ジェイムス・ミッチェル(エレクトリック・ギター)、マイク・ジョンソン(スティール・ギター)、ミッキー・ラファエル(ハーモニカ)、ジム“ムース”ブラウン(ピアノ、シンセサイザー、B3オルガン、ウーリッツァー)ワイアット・ベアード(バックグラウンド・ヴォーカル)、メロニー・キャノン(バックグラウンド・ヴォーカル)という顔ぶれだ。カヴァー・アートはウィリーの息子マイカ・ネルソンが手掛けた。
ウィリー・ネルソンにとって、2023年は間違いなく大きな意味を持つ年となりそうだ。本作の発売に加えてすでに話題となっているのが、トム・ジムニーとオーレン・モヴァーマンが監督した『ウィリー・ネルソン&ファミリー』。この5部構成の映像ドキュメンタリーは、サンダンス・フィルム・フェスティバル2023で1月19日から29日まで公開される。
国内盤CD
輸入盤CD
■収録曲
1. Tiger By The Tail
2. The Chokin' Kind
3. Excuse Me (I Think I've Got A Heartache)
4. Life Turned Her That Way
5. I Don't Know A Thing About Love
6. Streets Of Baltimore
7. Busted
8. She Called Me Baby
9. Too Many Rivers
10. Beautiful Annabel Lee
ウィリー・ネルソン|1984年に行われた伝説の武道館公演の模様を収めた『Live At Budokan』>>>>