『激ロック』スペシャルコーナー【3月レコメンドアイテム】
LORNA SHORE / 『Pain Remains』
GENRE:DEATHCORE, SYMPHONIC METAL, BLACKENED DEATH METAL
エクストリーム・メタルの未来――
シンフォニックなデスコア芸術を極めたLORNA SHOREが満を持して日本デビュー!
デスコアの枠内を越えて、エクストリーム・メタル・シーンにおいて現在最も注目を集めているニュージャージー州の5人組による、通算4枚目。本作をもって日本デビューとなる1枚でもある。10年以上のキャリアの中で磨き上げた、壮大なオーケストレーションと圧巻のブルータリティ、卓越した技術に裏打ちされた緻密なバンド・アンサンブルで魅せる、ドラマチックなサウンドは圧巻のひと言。驚異的なデス・ヴォイスの持ち主であるWill Ramosによる凄まじいパフォーマンスは、この手の音に慣れているリスナーであっても衝撃を受けることだろう。デスコア・バンドとしては異例のバイラル・ヒットを記録したEP『... And I Return To Nothingness』の3曲も収録されており、そちらも要チェックだ。
井上 光一【ライター推薦】
GODSMACK / 『Lighting Up The Sky』
GENRE : HARD ROCK, POST GRUNGE
四半世紀以上に及ぶキャリア誇るGODSMACK!
これまでの歩みを網羅したバンド最後のスタジオ・アルバム!
四半世紀以上に及ぶキャリアを誇り、数々のヒット・シングルをリリースしてきたUSハード・ロック・バンド、GODSMACK。バンドにとって最後のスタジオ・アルバムとなった本作は、これまでの歩みを網羅した仕上がりに。ドゥーミーなオープナーのTrack.1、アンセミックなコーラスが冴え渡るTrack.2、壮大なバラードのTrack.5、長尺のインスト・パートを取り入れたTrack.8など、持てるミュージシャンシップのすべてを注ぎ込んだ楽曲は往年のファンはもちろん、本作で初めてバンドに触れる人にも刺さることだろう。メンバーへの感謝を歌ったTrack.9から、1stアルバム収録曲のリフを引用したエモーショナルなラスト・ナンバーまでの流れも美しく、まさに集大成と呼ぶに相応しい作品だ。
菅谷 透【ライター推薦】
WARGASM / 『Explicit: The Mixxxtape』
GENRE : NU-METAL, ELECTRO
“BLARE FEST.2023”で初来日のUK発の2人組 WARGASM!
多彩なルーツ生かした、変幻自在で個性的な楽曲詰め込んだミックステープ!
“BLARE FEST.2023”で初来日を果たし、破天荒なステージを見せつけたUK発の2人組 WARGASMが発表したミックステープ。多彩なルーツを生かした、変幻自在で個性的な楽曲を詰め込んだ作品で、オープナーの「Super Fiend」では狂騒のラウド・サウンドと、アグレッシヴからキュートまで強烈な振り幅の男女ツイン・ヴォーカルが聴衆をノックアウトし、続く「D.R.I.L.D.O」ではドープなビートで自由度の高さを提示する。NIRVANA/THE PRODIGYリスペクトのリフがキャッチーな「Fukstar」、パンデミックの不安感をドラマチックな楽曲へと昇華した「Pyro Pyro」も素晴らしく、近年盛り上がりを見せるニューメタル・リヴァイヴァルにおいても注目すべきバンドであることが窺える1作。
菅谷 透【ライター推薦】
IN FLAMES / 『Foregone』
GENRE : ALTERNATIVE METAL, MELODIC DEATH METAL
メロデスからオルタナ・メタルまでキャリアを俯瞰した最新作!
IN FLAMESの約4年ぶり14枚目となるニュー・アルバム。“原点回帰”は少々言いすぎではあるものの、初期のメロデス・サウンドと近年のオルタナ路線を巧みに組み合わせた、キャリアを俯瞰するような好盤に仕上がった。フォーキーなイントロから強烈なリフが刺さるTrack.2、ブルータルな重低音とAnders FridénのキャッチーなクリーンVoの対比が美しいTrack.3といった冒頭の流れから、静と動のダイナミックなコントラストを描く表題曲2曲、Andersの歌唱力の高さを味わえるバラードのTrack.7を配した中盤に、オルタナ・サウンドの中で随所に美メロが光る後半と、アルバム全体の構成も見事。近作のファンはもちろん、最近のIN FLAMESに触れてこなかったリスナーにもおすすめしたい。
菅谷 透【ライター推薦】
BURY TOMORROW / 『The Seventh Sun』
GENRE : METALCORE
逆境から放つ起死回生の1打!
新体制BURY TOMORROWが生み出した野心的メタルコア・アルバム!
パンデミックによりツアーは中止、さらに2021年にはJason Cameron(Vo/Gt)が脱退と、苦境に立たされたBURY TOMORROWが、新たにギタリストとクリーンVo/キーボーディストを迎えた6ピースとなってシーンへ復帰、起死回生の1打となる新作を完成させた。重厚なヘヴィネスを叩きつけるTrack.2、5から、メロデスライクなリフが光るTrack.4、ピアノを主体としたバラードのTrack.7までバラエティ豊かな楽曲を収めており、それでいて軸がブレていないのはさすがのひと言。ドリーミーなエレクトロからスラッシーなパートまで自在に行き来するTrack.6は、現体制ならではだろう。バンド初の女性VoをフィーチャーしたTrack.11もエピックで、全メタルコア・ファン必聴の野心的なアルバムだ。
菅谷 透【ライター推薦】
PAUL GILBERT / 『The Dio Album』
GENRE : HARD ROCK, HEAVY METAL
MR. BIG/RACER Xの超絶ギタリストがRonnie James Dioが遺した名曲たちに挑む!
Paul Gilbertがヘヴィ・メタル・シーンの巨星、Ronnie James Dio(BLACK SABBATH/RAINBOW/DIO etc.)が歌った名曲群のカバー・アルバムを携えてシーンに帰還。メタルやハード・ロックのファンであれば誰もが知る名曲を、ドラム以外のすべての楽器を自ら演奏して彼なりの作品へと昇華している。Dioの流麗なメロディとRitchie Blackmore(DEEP PURPLE/RAINBOW etc.)やTony Iommi(BLACK SABBATH etc.)、Vivian Campbell(DIO etc.)といったレジェンド・ギタリストたちの歴史的なリフやソロに真正面から挑みつつ、Paulらしい遊び心も加えた愛情たっぷりの好盤となった。
井上 光一【ライター推薦】
YOU ME AT SIX / 『Truth Decay』
GENRE : ALTERNATIVE, EMO
ポップ・パンクが成熟して“本来の持ち主”のもとへ帰ってきた!
原点回帰なYMASのエモ・ロック!
ダンス・ミュージックに傾倒したクールなロックを洗練させてきた近年のYMASの傾向から考えると、かなり原点回帰なエモ・ロックを中心とした今作。疾走感のあるエモーショナルなロック・ナンバー「Deep Cuts」で幕開け、タイトルだけでニヤリとしてしまうような2000年代エモ/ポップ・パンク色満載の「God Bless The 90s Kids」もあれば、ヒップホップのビートとトーンダウンしたグルーヴが心地よい「Breakdown」など、ただの懐古的作品にはしないというバンドの信念のようなものも感じられる。ポップ・パンク・リヴァイヴァルが様々な音楽シーンに浸透し、成熟して“本来の持ち主”のもとへ帰ってきたということが感慨深く、時代の流れを考えるとさらにエモく感じられる作品だ。
山本 真由【ライター推薦】
HAKEN / 『Fauna』
GENRE : PROGRESSIVE METAL
現行プログ・メタル・シーンを牽引するHAKEN!
曲ごとにモチーフとなる動物を人間界になぞらえた約3年ぶりのアルバム!
往年のプログレッシヴ・ロックからモダンなメタルまでを血肉化したサウンドで現行プログ・メタル・シーンを牽引するHAKENの、約3年ぶりとなるニュー・アルバム。タイトルは“動物相”を意味しており、曲ごとにモチーフとなる動物を割り当て、それを人間界になぞらえるというユニークなコンセプトが掲げられている。バンドの初期メンバーだったPeter Jones(Key)の復帰作でもあるが、楽曲に奥行きを与えるプレイが随所に光っているうえに、ヘヴィなリフからクリーン・トーンまで自在に変化するツイン・ギターとも絡み合って、強烈な相乗効果を生み出している。複雑だがキャッチーでメロディックなサウンドをより洗練させた本作は、日頃プログレに縁がないというリスナーにも聴いてもらいたいアルバムだ。
菅谷 透【ライター推薦】
HATESPHERE / 『Hatred Reborn』
GENRE : DEATH/THRASH METAL
何があろうとも根幹の音楽性は変わらない――
デンマーク産デスラッシュの至宝、通算11枚目のニュー・アルバム!
デンマーク産デスラッシュの至宝による通算11枚目のニュー・アルバム。10年フロントマンとして活躍したEsben “Esse” Hansen(Vo)が2020年に脱退したこともあるのか、前作『Reduced To Flesh』(2018年)から約4年半という過去最長のインターバルを経たうえでの最新作となった。重厚なリズム・セクションとリフを軸としたヘヴィ・グルーヴにせよ、ザクザクと刻み倒す王道のデスラッシュにせよ、何があろうとも彼らの根幹となる音楽性は変わらない、ということは本作を聴いた人であれば納得するのではないか。新ヴォーカリストによるハイテンションなパフォーマンスもいい仕事をしており、期待と不安が入り乱れていたファンを安心させることだろう。
井上 光一【ライター推薦】
THRON / 『Dust』
GENRE : BLACK METAL, BLACKENED DEATH METAL
80年代的王道ヘヴィ・メタルへの憧憬が感じ取れる
ドイツの5人組ブラック・メタル・バンド、THRONによる通算4枚目のアルバム!
日本での知名度はまだまだの存在ではあるが、2015年の結成以来精力的な活動を続けて3枚のアルバムをリリース、本作が通算で4枚目となるドイツの5人組による最新作。音を聴けばわかるが90年代初頭から中期あたりの北欧のブラック・メタル~デス・メタルから多大なる影響を受けた音を鳴らしており、寒々しいトレモロ・リフと邪悪なヴォーカルが織りなす漆黒のサウンドは、ストリングスも導入しつつ悲哀や叙情性といったいわゆるメロブラ的な要素も兼ね備えているのが特徴的。ドイツ産らしい基本に忠実で良くも悪くも生真面目な音作りは、突出した個性に欠けるのも事実ではあるが、時折クラシカルな旋律がさらりと鳴らされたり、80年代的な王道のヘヴィ・メタルへの憧憬が感じ取れるのは興味深い。
井上 光一【ライター推薦】
GRAPHIC NATURE / 『A Mind Waiting To Die』
GENRE : NU-METAL
攻撃性の内側に弱さ、優しさ、柔らかさが垣間見える
英ケントの5人組 GRAPHIC NATUREのデビュー・アルバム!
2019年に結成された英ケント出身の5人組 GRAPHIC NATUREのデビュー・アルバム。“A Mind Waiting To Die(死を待つ者)”と名付けられた本作では、Harvey Freeman(Vo)の自身の経験をもとにした恐怖や怒り、切迫した精神状態が、激しい咆哮とヘヴィでダークなバンド・サウンドのSE/インタールードを含めた13曲、30分強に濃密にまとめられた。また、感情の発露を最優先させるかのようなストレートな言葉選びからも、同じ境遇にあったり、苦しみを抱えたりしている者と対話し、繋がりを強固にしたいというHarveyの想いが窺え、攻撃性の内側にある弱さや優しさといった柔らかさが垣間見えるのも、作品の奥深さを倍増させている。
内堀 文佳【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM) PUNK/EMO
掲載: 2023年03月22日 17:02