一部世界初録音!ロベルテ・マムー/ツェルニー:夜想曲集
あのツェルニーのノクターン(夜想曲)! ロマンティックで創造性豊かなOp.604は特に注目
日本ではもっぱら「練習曲の作曲家」として知られているカール・ツェルニー。しかし最近では研究も進み、ベートーヴェンの弟子であり、リストの師としての人物像に光があたるようになってきました。66年の生涯に、未出版も含め1000曲以上の作品を残し(作品番号付きは861作)ており、近年では宗教曲やオルガン作品なども演奏される機会があるなど、注目が高まっています。
このアルバムに収録されているのは、ツェルニーの一連の夜想曲。このジャンルの先駆者としてはアイルランド出身の作曲家ジョン・フィールド(1782-1837)が知られており、その作品の柔らかく気怠い雰囲気は、彼の「8つの夜想曲 Op. 368」にも受け継がれています。美しい旋律を湛えながらも、それほど技巧を必要としないこれらの作品は当時の中流階級の家庭での演奏に適したエレガントな佇まいを持っています。
トラック9『シュトラウスのお気に入りのモティーフ「アレクサンドラのワルツ」による感傷的で華麗な夜想曲』は、ロシアのニコライ2世の皇后アレクサンドラ・フョードロヴナにヨハン・シュトラウス1世が捧げたワルツの第2主題をモティーフにした作品。穏やかな曲調で始まるものの「華麗な」のタイトルとおり中間部では華やかな曲調に変化します。
1843年に出版された「さまざまな性格のロマンティックな8つの夜想曲 Op. 604」はOp. 368に比べ、リストの作品ほどではないものの、はるかに上級者向けに書かれており、感情表現も豊かになっています。ベートーヴェンのソナタ楽章を思わせるエネルギッシュな曲から、ヨハン・シュトラウス風のワルツや、ショパンの練習曲「革命」を彷彿させるドラマティックな曲など、単なる夜想曲の括りには収めきれないほどの多彩な曲集になっています。
演奏は古典派からロマン派作品を得意とするベルギーのピアニスト、ロベルテ・マムー。シューマンやモーツァルト、ジョン・フィールド作品の録音が高く評価されています。
(ナクソス・ジャパン)
[日本語解説付き]
※国内仕様盤には音楽学者でツェルニーの研究をしている中川航氏の解説が付属します。
【曲目】
カール・ツェルニー(1791-1857):夜想曲集
1-8. 8つの夜想曲 Op. 368(1830-1835)
1. 第1番 ホ長調
2. 第2番 変ホ長調
3. 第3番 変イ長調
4. 第4番 変ニ長調
5. 第5番 ホ長調
6. 第6番 イ短調
7. 第7番 ロ短調 - ロンド形式による
8. 第8番 変ロ長調
9. シュトラウスのお気に入りのモティーフ「アレクサンドラのワルツ」による感傷的で華麗な夜想曲 Op. 537 (1931年出版)…世界初録音
10-17. さまざまな性格のロマンティックな8つの夜想曲 Op. 604(1843年出版)
10. 第1番 L'Hommage
11. 第2番 Le Désir
12. 第3番 La Persuasion
13. 第4番 La Colère
14. 第5番 L'Excuse
15. 第6番 La Consolation
16. 第7番 La Méditation
17. 第8番 La Joie
【演奏】
ロベルテ・マムー(ピアノ)
【録音】
2022年8月22-25日
Dada Studios, ブリュッセル(ベルギー)
総収録時間:82分
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2023年12月21日 00:00