ファレッタ&ロイヤル・リヴァプール・フィル、コリン・カリー/ダニー・エルフマン:パーカッション協奏曲&ヴンダーカンマー
[Percussion Concerto: I. Triangle/Danny Elfman 公式チャンネルより]
アメリカ気鋭の作曲家ダニー・エルフマンのユニークな作品集。パーカッションのソロはコリン・カリー!
ダニー・エルフマンは、1953年ロサンゼルス生まれ。1970年代初頭、兄のリチャード・エルフマンとニューウェーブ音楽集団『オインゴ・ボインゴ』を結成し、リチャードの製作した映画「フォービデン・ゾーン」(1980)の音楽を担当。その後ロサンゼルスを拠点に音楽活動を続けるなかで若き日のティム・バートンに出会い、バートンの長編監督デビュー作「ピーウィーの大冒険」(1985)で初めて本格的に映画音楽を手がけて以来、ティム・バートン作品の音楽を数多く担当。その後も様々な映画音楽を手がけてアカデミー作曲賞に4度ノミネートされています。また映画音楽だけでなく、ヴァイオリン協奏曲などクラシック作品も作曲しています。
演奏は、アメリカを代表する女性指揮者の一人で、現在、バッファロー・フィルとヴァージニア交響楽団の音楽監督を務め、近現代音楽を得意とするジョアン・ファレッタ。そして現代音楽の演奏において最高レベルを誇るパーカッション奏者のコリン・カリーが独奏を務め、印象的で斬新な作品を奏でています。
(ソニーミュージック)
【曲目】
ダニー・エルフマン(1953-):
1. ヴンダーカンマー
2. パーカッション協奏曲
3. Are You Lost?
【演奏】
コリン・カリー(パーカッション:2)
ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管弦楽団
カントス室内合唱団(3)
ジョアン・ファレッタ(指揮)
【録音】
2023年8月31日~9月1日、リヴァプール・フィルハーモニック・ホール
ダニー・エルフマンは、各作品について以下のように語っています。
《パーカッション協奏曲》
パーカッションは私の人生において常に重要な位置を占めてきました。18歳のときに西アフリカを旅したときに「バラフォン」(アフリカ版マリンバのようなもの)を集めて演奏を習い始めたことに始まり、20代には金属をベースにしたインドネシアのガムラン・アンサンブルで演奏し、初期の演劇活動時代には奇妙な金属と木製のパーカッション・アンサンブルを自作するなど、パーカッションは常に私のちかくにありました。
最初のヴァイオリン協奏曲を初演した直後、ロンドンでパーカッション奏者のコリン・カリーと偶然出会いました。私たちは、一緒に作品を作ったらとても楽しいだろうと意気投合し、木と金属、マレットとスティック、そして手という自分たちのルーツに立ち返ると同時に、新たなる協奏曲という挑戦にワクワクして取り掛かったわけです。パーカッション独奏のために書かれた協奏曲は、ピアノ、ヴァイオリン、チェロなどの協奏曲に比べてはるかに少ないと思っていました。つまり、自分が影響を受ける「型」がはるかに少ないことを意味し、私のパーカッション協奏曲のアイデアがより独創性を帯びたのです。
《ヴンダーカンマー》
パンデミックの直前、ロンドンで映画音楽の作曲をしていたとき、出版社からイギリス・ナショナル・ユース管弦楽団(NYOGB:The National Youth Orchestra of Great Britain)が委嘱の可能性に興味を示しているから会ってみないかと勧められました。最初はユース・オーケストラというアイデアに懐疑的だったのですが、彼らが行う公演を覗いてみることにしました。そして控えめに言っても、彼らの素晴らしさに圧倒されたのです。私はその場で、彼らのために曲を書こうと決めました。
それで、現在「ヴンダーカンマー」と呼ばれている曲の作曲を始めました。私の当初の意図は、彼らがその気であることを知っていたので、彼らにとって非常に挑戦的なものを作ること、そして、全員が輝く瞬間を与えられるように、全体を通してさまざまな楽器のセクションをフィーチャーするような、彼らが楽しくエキサイティングに音楽を掘り下げられるようなものを作ることでした。
ヴンダーカンマー(不思議の部屋)とは、好奇心の詰まったキャビネット、あるいは謎や奇妙なものを集めた部屋のことで、楽しくもあり、恐ろしくもあり、興味をそそられたり、勉強になったりするものですが、決して退屈なものではない!それこそが、私がNYOGBでヴンダーカンマーに託したかったことなのです。
《Are You Lost?》
私の最初の協奏曲は、ヴァイオリニストのサンディ・キャメロンのために書いたものでした。彼女は、ヴァイオリンと声楽のための二重奏曲を書いてほしいと、ずっと私に懇願していました。私は最終的に、ピアノを加えてトリオにするという条件で譲歩したのです。作曲家の友人とこのプロジェクトについて話しているうちに、私たちは皆、同じトリオのために書くことに決めました。ソニー・クラシカルと協奏曲とヴンダーカンマー録音の可能性について話し合い始めたとき、彼らはまだ一度も演奏されたことのない曲を入れたらどうかと提案したのです。そこで私は、『トリオ』のために書いた4つの楽章のうちの1つを、合唱とフルオーケストラのために拡大し、改作することにしました。こうして、"Are You Lost? "の発想が生まれました。
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2024年04月05日 00:00