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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.271

ティナ・ブルックス『トゥルー・ブルー』(1960)

TB

ティナ・ブルックス(ts)
フレディ・ハバード(tp)
デューク・ジョーダン(p)
サム・ジョーンズ(b)
アート・テイラー(ds)

1960年6月25日、ニュージャージーにて録音

曲目(LP初発売時):
01.グッド・オールド・ソウル
02.アップ・タイツ・クリーク
03.ドリスのテーマ
04.トゥルー・ブルー
05.ミス・ヘイゼル
06.ナッシング・エヴァー・チェンジズ・マイ・ラヴ・フォー・ユー

【アルバム紹介】
1.幻のテナーマンによるブルーノート・レーベルでのリーダー・アルバム
2.存命中にリリースされた唯一のリーダー作品
3.名手揃いのメンバーとオリジナル中心の楽曲群

クインテット編成の名盤、今回は幻のテナーマンとうたわれたティナ・ブルックスのブルーノート・レーベルでのリーダー・アルバムを取り上げます。

1932年にノースカロライナ州のファイエットビルで生まれ、本名はハロルド・フロイド・ブルックス。ティナという名前は背が低かったことから「Tiny」(小さい)などの言葉が変化してつけられた幼少期のあだ名でした。
最初はCメロディーのサクソフォンをプレイしていましたが、テナー・サックスに転向し、1951年にR&Bバンドの仕事でプロとしての第一歩を踏み出しました。ブルーノート・レーベルとは1958年に契約し、1961年までにリーダー作を5枚ほどレコーディングしたものの、ティナ・ブルックスが存命中にリリースされたのは本作だけでした。ヘロインの依存症により体調が悪化したこともあり、1961年以降は一切レコーディングしておらず、1974年に肝不全のため、42歳で亡くなっています。

若くして亡くなったのが残念に思えるほど、ハードバップ・テイストのいいプレイが本作では存分に聴けます。
メンバーもトランペットにはこの時相性抜群だったフレディ・ハバード、ピアノにはデューク・ジョーダン、ベースにはサム・ジョーンズ、ドラムスにはアート・テイラーと名手揃いです。
楽曲は6曲目を除いて、自身のペンによるオリジナル曲となっています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
ブルージーなハードバップ・チューン“グッド・オールド・ソウル”。

本作の1曲目にあたるこのナンバーはティナ・ブルックスのオリジナルで、ブルージーなテイストがあふれんばかりのハードバップ・チューンです。ブルーノートに残された5枚のリーダー・アルバムはほぼティナ・ブルックスのオリジナル曲で構成されており、作曲力にも恵まれたテナーマンであったことが伺い知れます。
トランペットのフレディ・ハバードはブルーノート・レーベルで自身のリーダー作『オープン・セサミ』を本作の6日前にレコーディングしており、そこでのテナー・サックスはティナ・ブルックスで、コンピネーションはバッチリだったことが本作から伝わってきます。
曲はフロント2管のユニゾンを最大限に生かしたテーマ・メロディで進行してゆきます。テーマ提示後にさっそうと始まるのがティナ・ブルックスのテナー・サックスのソロ。表情豊かなフレージングで魅了します。続いて、フレディ・ハバードのトランペットが抑揚のある見事なソロを展開します。そして、デューク・ジョーダンのピアノ・ソロへと移り、シングルトーンで繰り出される哀愁美を感じさせるプレイが印象的です。最後にテーマが回帰し、フェイド・アウトで消え入るように終わります。
この曲に限らず、全編にわたってハードバップ然としたティナ・ブルックスのプレイは聴きどころとなっており、ブルーノート・レーベルの中でも充実作として隠れファンが多いのも頷けます。

国内盤SHM-CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2024年04月12日 10:00