『激ロック』スペシャルコーナー【5月レコメンドアイテム】
NEW YEARS DAY / 『Half Black Heart』
GENRE:LOUDROCK
赤と黒がトレードマークのAsh Costello率いるNEW YEARS DAY
ゴスでヘヴィでポップでエモい最新作!
ヴォーカルやソングライティングだけでなく、ヴィジュアル面でもカリスマ性を発揮し、ヘヴィ・ロック・シーンのLADY GAGAとも謳われるフロントウーマン、Ash Costello。そんな彼女が率いる5人組ロック・バンド、NEW YEARS DAYの約5年ぶり5作目となるアルバムがこちら。今作は、コロナ禍を経てじっくりとアルバム制作に向き合ったと言うだけあって、パワフルな楽曲の勢いが見せ場となっているだけでなく、アルバム全体としてヴィジュアル・イメージが湧いてくるような、エモくてアートな作品でもある。ダークな要素とキャッチーで乗りやすいメロディが重なり合う、ほど良いバランス感覚。メタルもゴスもロックもポップも飲み込んだNEW YEARS DAYの最新形態を、じっくり味わうべし。
山本 真由【ライター推薦】
WHOM GODS DESTROY / 『Insanium』
GENRE:PROGRESSIVE METAL
SOAの新たなプログレ・メタル・バンド始動!
よりダークでヘヴィな超絶技巧サウンド響く狂気のデビュー作
SONS OF APOLLOのRon “Bumblefoot” Thal(Gt)とDerek Sherinian(Key)が始動させた5人組バンドのデビュー・アルバム。プログレッシヴなHR/HMはSOAと地続きだが、よりモダンでヘヴィなサウンドへと発展を遂げた印象で、Bumblefootのフレットレス・ギターから放たれる這いずるような重低音リフはDjent以降のリスナーにも鮮烈なインパクトだ。一方でメロディ面も研ぎ澄まされていて、BumblefootとDerekの火花散るソロ・バトルはもちろん、Dino Jelusickの圧倒的な歌唱力も聴きどころ。いわゆるプログレ・メタルの愛好家はもちろん、テクニカルなサウンドのファンであればぜひチェックしてほしい強力作。
菅谷 透【ライター推薦】
NOFX / 『Half Album』
GENRE:PUNK ROCK
ファン必聴!
NOFX活動40年の歴史を感じる充実の5曲入り新EP!
前々作『Single Album』(2021年リリース)、前作『Double Album』(2022年リリース)と併せて3部作となっているNOFXの新作EP『Half Album』は、文字通りハーフ・サイズの5曲入りながらも、前のふたつのアルバムに引けを取らない充実した内容の1枚。ピアノの伴奏とメロディがノスタルジックな「Fake-A-Wish Foundation」で幕開け、ファスト&ショートで駆け抜ける「I'm A Rat」と「The Queen Is Dead」が続き、ハード・ロッキンな「The Humblest Man In The World」で少し雰囲気を変え、ラストはスロー・テンポから盛り上がっていく「The Last Drag」で締めるという、起承転結の流れが完璧である。中でもFat Mike(Vo/Ba)がHi-STANDARDに提供した「I'm A Rat」のセルフカバーは必聴だ。
山本 真由【ライター推薦】
ERRA / 『Cure』
GENRE:PROGRESSIVE METALCORE, POST-HARDCORE
Djent/プログレッシヴ・メタルコアの一歩先へ飛躍する6thアルバム!
前作『Erra』のデラックス版でNINE INCH NAILSやAUDIOSLAVE、MUSEをカバーしていたのは本作への布石だったのかもしれない。ERRAの6thアルバムは、ジャンルの象徴と呼べる域にまで確立されたDjent/プログレ・メタルコアから、インダストリアル/オルタナ/ドリーム・ポップまで音楽性をさらに拡張した作品に仕上がった。グルーヴィなリフに抑制の効いたクリーンVoが絡み合うTrack.4や、近未来的なエレクトロ・サウンドが展開されるTrack.5、ほぼクリーンVoで構成されたTrack.8など、メランコリックで没入感のある楽曲が実にディープ。緻密なアンサンブルと表現力豊かなツインVoは新たなスタイルを違和感なく聴かせる説得力に満ちている。ジャンルの垣根を越え支持層を広げそうな、転換点となり得る作品。
菅谷 透【ライター推薦】
KORPIKLAANI / 『Rankarumpu』
GENRE:FOLK METAL
ヴァイオリンやアコーディオンが縦横無尽に暴れ回り
初期の彼らを想起させる、まさに“コルピと温故知新の旅”!
フィンランドが世界に誇るフォーク・メタル、KORPIKLAANIの通算12枚目となる最新作。メタルと民族音楽を融合させた陽気なスタイルは不変ながらも、本作は初期の彼らを想起させるアグレッシヴ且つアップテンポな曲が多く収録されており、トレードマークのヴァイオリンやアコーディオンの音色が縦横無尽に暴れ回る、彼ららしさ全開のサウンドで“コルピと温故知新の旅”という邦題もまさに言い得て妙。北欧らしい叙情性を感じさせる瞬間もあり、アルバム中唯一5分を超えるラスト曲「Harhainen Höyhen」はまるで旅の終わりを告げるような哀愁を漂わせているのも印象深い。日々の喧騒を忘れて、享楽的な夜を過ごしたいすべてのメタルヘッズはコルピが主催する酒と音楽の宴に今すぐ参加すべし。
井上 光一【ライター推薦】
MELVINS / 『Tarantula Heart』
GENRE:HEAVY ROCK
ベテランの老獪さがありながら少年のような無邪気さも同居した
“これまでで最も型破りで、最もキャッチー”なMELVINSの最新作
ヘヴィ・ロックの重鎮の最新作は、STONE SOURやAMEBIXなどでプレイしたドラマーのRoy Mayorga(現MINISTRY)をゲストに迎え、これまでとはまったく異なる手法で制作されたのだという。そのせいか、“これまでで最も型破りで、最もキャッチー”という触れ込みの通り、19分超えのドゥーミーなオープナー「Pain Equals Funny」や、シンプルなリフを主体に暴走を繰り広げる「Allergic To Food」など、ベテランの老獪さがありながらおもちゃを振り回す少年のような無邪気さも同居した、フレッシュな作品となっている。先日行われた来日公演の評判や、グランジの源流という立ち位置に興味を持ったリスナーがまず手に取るアルバムとしてもアリかもしれない。
菅谷 透【ライター推薦】
HIGH ON FIRE / 『Cometh The Storm』
GENRE:STONER METAL
グラミー賞受賞のスラッジ/ストーナー・メタル・バンド HIGH ON FIRE
ヘヴィ・ミュージックの旨味を凝縮した約5年半ぶりの最新作
前作『Electric Messiah』の表題曲でグラミー賞を受賞し、異端ジャンルのスラッジ/ストーナー・メタルに属するバンドながら快挙を成し遂げたHIGH ON FIRE。約5年半ぶりとなる最新作も、破壊的な爆走と大地を揺るがす重低音、雄々しさと哀愁を纏ったメロディでリスナーを酩酊させる盤石の出来。今作ではさらにトルコの民族音楽も導入され、楽曲に奥行きを与えている。新加入となった元MELVINSのCoady Willis(Dr)も強靭なパフォーマンスを披露しており、長年タッグを組むKurt Ballou (CONVERGE/Gt)のミックスも野性味溢れる作風に見事に貢献している。ヘヴィ・ミュージックの旨味を凝縮したサウンドにノックアウトされること間違いなし。
菅谷 透【ライター推薦】
STRUNG OUT / 『Dead Rebellion』
GENRE:MELODIC PUNK
90年代~00年代メロコア・シーンの重要バンド STRUNG OUT
ベテランならではの渋いカッコ良さが溢れた10thフル・アルバム
Fat Wreck Chordsの古株バンドのひとつで、90年代~00年代メロコア・シーンの重要バンドのひとつでもあるSTRUNG OUTが、記念すべき10作目となるフル・アルバムをリリースした。今作は、ハードなギター・サウンドにはより磨きがかかっているものの、激しいだけなくテンポを落としてメロディを際立たせた楽曲も目立つ、ベテランならではの渋いカッコ良さが溢れたアルバムとなった。感情を昂らせる重厚感のあるバンド・アンサンブルと、思わず聴き入ってしまう歌メロのハーモニーは、パンク/メロコア・ファンだけでなく、メタル/ハードコア・ファンなど幅広いロック・リスナーにリーチするだろう。30年以上第一線で活躍するバンドの実力を再確認できる作品だ。
山本 真由【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2024年05月24日 19:32