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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.287

スーパー・ジャズ・トリオ『ザ・スタンダード』(1980)

SJT

トミー・フラナガン(p)
レジー・ワークマン(b)
ジョー・チェンバース(ds)

1980年2月14日、NYパワーステーションにて録音

曲目:
01.朝日のようにさわやかに
02.チュニジアの夜
03.いつか王子様が
04.枯葉
05.イッツ・オールライト・ウィズ・ミー
06.エンジェル・アイズ
07.ストレート・ノー・チェイサー

【アルバム紹介】
1.名ピアニスト、トミー・フラナガンの魅力満載のスタンダード・ピアノ・トリオ
2.ベースにレジー・ワークマン、ドラムスにはジョー・チェンバースが参加
3.収録曲は誰もが知っている超有名スタンダード・ナンバーばかり

ストレート・アヘッドなピアノ・トリオで、ジャズ・スタンダード名曲を堪能する、今回はそんな一枚をご紹介します。数々の名盤でピアノを弾いているため、“名盤請負人”と呼ばれた名ピアニスト、トミー・フラナガンがピアノ・トリオの醍醐味を伝えてくれる逸品です。

トリオの名前はスーパー・ジャズ・トリオ。メンバーはピアノがトミー・フラナガン、ベースはジョン・コルトレーンのカルテットでの活躍で知られるレジー・ワークマン、ドラムスは数々のジャズ・ミュージシャンと共演歴のある名手ジョー・チェンバース。トリオの結成は1978年です。レーベルは日本のベイステイト・レーベルからリリースされました。当時、日本のレーベル、イーストウィンドでハンク・ジョーンズのグレイト・ジャズ・トリオがありましたが、ある種同系統のピアノ・トリオといってもよいでしょう。

本作は誰もが知っているスタンダードの名曲ばかりを取り上げた一作で、1曲目の“朝日のようにさわやかに”から、直球ストレートな解釈が際立っています。録音された1980年といえば、ジャズはフュージョン全盛の時代ゆえ、こういったオーソドックスなピアノ・トリオ・アルバムは非常に珍しかったことと思われます。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
王道スタンダード・ナンバー“枯葉”。

ジャズのスタンダードの王道中の王道の1曲といっても良い“枯葉”。マイルス・デイヴィスをはじめとするジャズ史に残る名演もあり、多くの演奏が存在します。ここでの解釈は原曲のメロディを十分に生かした情緒あふれる演奏になっており、各人の安定したプレイも魅力になっています。
イントロは短くトミー・フラナガンのソロ・ピアノでテンポもルバートで演奏され、続いて、ベース、ドラムスが入ってイン・テンポになると、有名なテーマ・メロディを提示してゆきます。それが終わると、ピアノ・ソロに移りますが、フレーズを歌わせつつ、決して技巧的になることもなく、味わい深いプレイで魅了します。ピアノ・ソロが一段落すると、レジー・ワークマンのベース・ソロとなり、低音の弦の鳴りを存分にきかせた名人芸ともいえる演奏を披露します。ベース・ソロの後はジョー・チェンバースのドラムスのソロとなり、ブラシ・ワークで繊細に小技をきめてゆきます。やがて、ピアノが入り、テーマ・メロディの再提示になり、再現後は軽く流して、エンディングとなります。
トミー・フラナガンは作家の村上春樹氏が愛聴したピアニストとしても有名ですが、突出した個性を前面に出すわけではない、その落ち着いたスタイルは、アクの強いプレイヤーとは違って、万人受けするところがありました。このスーパー・ジャズ・トリオはそういう意味ではビギナー・ユーザー受けが良いピアノ・トリオといえるでしょう。本作はリラックスしてジャズを楽しみたいときには最適なアルバムです。

国内盤CD

掲載: 2024年08月02日 10:00