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WEEKEND JAZZ ~週末ジャズ名盤探訪 Vol.298

スタンリー・タレンタイン『レット・イット・ゴー』(1966)

ST

スタンリー・タレンタイン(ts)
シャーリー・スコット(org)
ロン・カーター(b)
マック・シンプキンス(ds)

1966年4月6日、15 日ニュージャージーにて録音

曲目:
01.レット・イット・ゴー
02.オン・ア・クリア・デイ
03チャオ、チャオ
04.テイント・ホワット・ユー・ドゥ
05グッド・ルッキン・アウト
06シュア・アズ・ユー・アー・ボーン
07ディープ・パープル

【アルバム紹介】
1.渋いテナー・マン、スタンリー・タレンタインのインパルスでの隠れ名盤
2.オルガン入りのワン・ホーン・カルテット
3.ベースにはロン・カーターが参加。オリジナル、スタンダード交えた選曲

ちょっと渋めのテナー・サックスと、ジャズ・オルガンのいい組み合わせの隠れ名盤を聴いてみませんか?今回はそんな1枚です。
名テナー・マン、スタンリー・タレンタインによるインパルス・レーベルでのレコーディング作になります。

スタンリー・タレンタインは1934年にピッツバーグ生まれのテナー・サックス奏者ですが、世代的にはソニー・ロリンズの少し後に出てきたミュージシャンで、60年代にブルーノート・レーベルに多くのリーダー作を残しています。
本作は当時夫婦であったジャズ・オルガン奏者のシャーリー・スコットとの共演盤のひとつでもあり、息のあったいいプレイが聴けるオルガン・ジャズの逸品とも言えます。

メンバーは他に、ベースには当時マイルス・クインテットのメンバーであったロン・カーター、ドラムスには60年代前半にシャーリー・スコットのプレスティッジのリーダー・アルバムに参加していたマック・シンプキンス。
楽曲は3曲(1,3,5)がスタンリー・タレンタインのオリジナルで、他は“オン・ア・クリア・デイ”や“ディープ・パープル”といったスタンダード・ナンバーも取り上げています。

【スタッフのつぶやき:この1曲を必ず聴いて下さい】
スタンリー・タレンタインのオリジナル・ナンバー“レット・イット・ゴー”。

ソウルフルなテナー・サックスとジャジーなオルガンが織りなすサウンドは60年代の香りそのもの。そんな雰囲気を体感するアルバムです。
この曲はスタンリー・タレンタインのオリジナルで、クールにグルーヴする4ビートの上をテナー・サックスが饒舌にソロをとる1曲です。
まずイントロは短くオルガンがリードしてゆき、スタンリー・タレンタインのテナーによってちょっとブルージーなメロディを持ったテーマが提示されます。ソロが始まると、くりだされるフレーズは淀みなく流れ、一体感を持った安定した演奏が続いてゆきます。サックスのソロが終わるとシャーリー・スコットのオルガン・ソロに移り、ソウル・ジャズさながらのいいプレイを聴かせます。そして再びテーマに回帰し、最後の1音まで渋く決めてエンディングとなります。
スタンリー・タレンタインは60年代には本作のようなオルガン入りのソウル・ジャズ路線を極めますが、70年代に入ると、クロスオーヴァーの時代とともに路線も変化し、CTIレーベルに『シュガー』といった傑作を残しています。本作は、解釈によっては、60年代のブルーノ―トでの一連のレコ―ディング作と70年代入ってからのCTIのクロスオーヴァー路線の中間に位置する穴場的なアルバムといってもよいでしょう。

国内盤SHM-CD

タグ : WEEKEND JAZZ

掲載: 2024年10月18日 10:00