注目アイテム詳細

連載“強制”終了かと思いきや……「打ち切り」からの「大逆転」をみせた名作マンガたち

黒黒黒黒

異色のストーリーが展開する天上涼太郎のマンガ「黒黒黒黒」に大きな注目が集まっている。打ち切りの危機に瀕したマンガ家が、中学時代に描いた“黒歴史マンガ”の世界に吸い込まれるという一風変わったストーリーだ。1月21日にコミックス第1巻が発売されており、読者からは「アツさがたまらない!」「今まで読んだことのないタイプ」と評価する声が目立つ。


●じつは意外に多い「打ち切りになった名作マンガ」
「打ち切り」とは、物語の途中でも連載が終了することを意味している。「打ち切りマンガ=駄作」のイメージがつきまとうが、じつは打ち切りを経験しながらも名作へと登り詰めた作品が多いことをご存知だろうか。

たとえば、鈴木央の「ライジング インパクト」は代表的なタイトルと言えるだろう。「七つの大罪」で知られる鈴木が1998年から「週刊少年ジャンプ」で連載していた作品で、小学生のゴルファーが世界の強豪たちと競いあう姿が描かれている。開始1年ほどで打ち切りになるも、読者からの反響が大きかったために見事復活。ストーリーを継続して2002年まで連載され、なんと2024年にアニメ化を果たす逆転劇を見せた。

「るろうに剣心」で知られる和月伸宏の「武装錬金」も、華麗な復活を遂げた作品のひとつ。同作は2003年に連載がスタートするも、2005年に打ち切りの憂き目にあってしまう。しかし「赤マルジャンプ」2005 SUMMERと「赤マルジャンプ」2006 WINTERで前後編の形で復活掲載され、2006年にはアニメがスタート。ノベライズ版も刊行される人気シリーズとなった。

打ち切りを回避すべく奮闘する「黒黒黒黒」の主人公も、現実はなかなかシビア。ランキングが全てという連載レースを勝ち抜くため必死に編集者や読者ウケを狙うものの、どうにも順位が伸びない。悩み苦しむ中、突然迷い込んだのが子どもの頃に描いた「クソ漫画」の世界だった。設定やキャラクターの無茶苦茶ぶりなど、成長した視点でみれば“黒歴史”そのものだろう。

しかし主人公は赤面しながらも、面白い作品づくりのヒントを見出しては現在に活かしていく。今の自分に足りなかったものに気づくシーンでは、マンガ制作だけでなく人生にも当てはまりそうな熱い言葉が胸を打つ。一癖ありそうな美女も登場するなど、勢いのある良作だ。

シビアな現実や先の展開が読めない“黒歴史マンガ”の世界。はたして主人公たちが今後どんな運命を辿るのか、連載の行方に注目していきたい。

タグ : レビュー・コラム

掲載: 2025年02月10日 22:00

S
S
S
S