武道館はなぜ“音楽の聖地”になったのか?
1989年に結成されたロックバンド・フラワーカンパニーズ。彼らは結成以来30年以上の活動期間の間、一度もメンバーチェンジや活動休止もなく、日本のロック界で熱い支持を集めている。今年9月には、10年ぶり2度目となる日本武道館公演の開催が決定。さらに、武道館公演に先駆けて配信番組「月刊フラカン武道館 Part2」もスタートしている。1月22日には通算20枚目となるアルバム「正しい哺乳類」をリリースするなど精力的に活動中の同バンドだが、果たしてどんな武道館ライブを見せてくれるのか。
●日本武道館が音楽の聖地と言われる理由は?
そもそも、武道館はどうしてこんなにもミュージシャンからの憧れを集める“聖地”になったのだろうか。もともと日本武道館は、1964年に東京オリンピックの柔道競技場として建設された。はじめは名前の通り“武道”のための施設だったが、開館から2年後に武道館で行われたビートルズのライブがキッカケとなり、武道館は音楽の聖地となる。ビートルズの前にオーケストラのコンサートが開かれたことはあったが、ポピュラーミュージックのアーティストとしてのライブはビートルズが初めてだった。
当時世界中を熱狂させていたビートルズの初来日公演に、日本中が興奮。武道館には数万人の観客が押し寄せた。さらに、観客の中には加山雄三や美空ひばり、沢田研二やザ・ドリフターズ加入前の志村けんなど、日本の著名人やミュージシャンの姿も。日本の音楽・文化を支えた彼らの脳裏にも「武道館=ライブの聖地」という印象が植え付けられることになる。
ビートルズの来日公演以降、70年代にはハードロックの元祖とも言えるレッド・ツェッペリンや、ファンクの帝王と言われるジェームス・ブラウンなどのレジェンドたちが武道館で公演。当時は1万人規模のライブが開催できるアーティストはわずかだったため、武道館でのライブは、アーティストにとってステータスだった。
そうそうたるレジェンドたちの公演で、“音楽の聖地”としてのオーラを身に着けていった武道館。現在では、バンド、ソロアーティスト、そしてアイドルも武道館ライブをおこなうことが大きな目標のひとつになっている。
アイドルと武道館といえば、2020年にアニメ化もされた漫画「推しが武道館いってくれたら死ぬ」も有名。同作は女性地下アイドルグループと、アイドルを応援するファンの姿がリアルに描かれた作品で、原作漫画はいまだに連載中。現在は11巻まで発売中だ。最新刊では、推しているメンバーがグループを卒業してしまった後のファンの心境や、メンバーたちの葛藤など見どころが満載。アイドルやミュージシャンたちの武道館への憧れは、今や漫画にも描かれる時代になったようだ。
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掲載: 2025年02月10日 22:10