インタビュー

Luna (Rock)

NY浪漫派、ルナ。3年ぶりに届けられた彼らの待望の新作は、サイケデリック・ポップの秀作!!


まさに、3年ぶりの満月。ここにこうやって届けられたルナの新作『Romantica』は、いつもどおりミステリアスで、グルーヴィー。ディーン・ウェアハムの歌声が流れたとたん、このアルバムがルナのものでしかありえないのがとてもよくわかる。しかも今回のプロデューサーは元dB'sのジーン・ホルダー(!)だっていうんだから、これが気にならないワケがない。でもディーンいわく「ある人に彼を推薦されたんだけど、最初は誰か気づかなくて、やってるうちに〈あーっ、dB'sのジーンだ〉(笑)」。

 dB'sといえばそのパワー・ポップなサウンドとアート・センスが絶妙にブレンドされた小さな伝説。ルナには相性ぴったりだ。そしてまた今回のミックス担当というのが、ルナ誕生時から交流があるというデイヴ・フリッドマン(働き者!)なわけで。もうバックアップ態勢は万全。

「“Renee Is Crying”での彼のミックスがとっても奇妙なんだ。〈なにやったんだ?〉ってカンジ。誰かがミキサーのボタンの上に座って、知らない間にスウィッチが入ったみたいな(笑)」。


99年にリリースされた前作『The Day Of Our Night』

そんなこんなで、「70年代風にレコーディング」されて誕生した本作は、夜を滑らかに切り裂くギターの音色や、青白く輝くメロディー、奇妙な味わいをもったリリック……そういったルナの詩学がリラックスした空気のなかで溶けあった素晴らしい内容。新メンバー、ブリタ・フィリップスも、ディーンとデュエットを聴かせたり、掛け値なしの〈ポップ・ソング〉がぎっしり。

「ルナの歌はとってもシンプルなんだ。曲の構成を複雑にするのは苦手だし、そんなプレイもできない(笑)。でも、シンプルであるってことを僕は大切にしてる。でもリリックは奇妙なものを書いているよ。誰も聴いたことのないようなものをね」。

 新作のタイトルにひっかけて、あなたにとって〈ロマンティック〉なものは? と尋ねると「NYでダーティーな夕暮れを見ること」と答えてくれたディーン。さて、ダーティーな月明かり(ルナ)の下で、今夜はどんな夢を見ようか?

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掲載: 2002年05月23日 12:00

更新: 2003年03月10日 12:03

ソース: 『bounce』 231号(2002/4/25)

文/村尾 泰郎