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インタビュー

《ブレイク前夜のイチオシ・アーティスト 001》(3)

そろそろ自分の思っていることをはっきり伝えてもいい頃だ

──過去の音楽との距離感という意味で、たとえばフリッパーズ・ギターが「サンプリング」で、サニーデイ・サービスが「借景」だったとすると、初恋の嵐はさらにもう1フェイズ新しいスタンスの取り方なんだけど、逆に表現が直接的になっている気がします。もはや特定のスタイルに自分たちを投影することはない。

西山 自分でも客観的にそう思いますね。僕は15歳くらいの時は本気で尾崎豊とか好きだったから、そういう変な変遷を経てきているということもあるかも知れないけど。
 初恋の嵐では思ったことをふつうに言うようにしよう、という意識が僕の中にある。だから、「型」から先に入ることはあんまりないですね。やっていく中で「それはやばいだろう」ということで多少色を付けたりすることはあるんですけど、なにかのモデルがある曲というものはあんまりない。結局いまの音は自分自身の音じゃないのかな、と思います。

隅倉 特に最近3人とも無理がないよね。

西山 そうそう。格好悪いかもしれんが、いまはこれが気持ちいい。みたいなね。

──3人が聴いてきた音楽はバラバラだったりするんですか。

西山 結局どこかでカブってるよね。僕と隅倉君はスワンプ・ロックとかカントリー・ロックを趣味的に聴いてきた人間で、鈴木君はグランジとかも好きでジャズなんかも聴いてますね。「王道が好き」っていうのが3人の共通点ですね。例えば、グランド・ファンク・レイルロードみたいなバカバカしいくらいポップな感じが好きだったりしますね。そういう気持ちは年々高まっています。周りの状況が混沌としていくのに抵抗する気持ちの表れだと思うんですけど。

──自分たちと近い位置にいるバンド、意識しているバンドはいますか。

西山 んー、特にいないですね。僕らはいわゆる「サニーデイ以降」という位置づけをされているのはわかってるし、その理由も理解しているんですけど、そう言われているバンドの中には共感できる人たちはいないです。いまは風景描写を通して自分の思っていることを遠回しに伝えるような手法がすごく多い。でも、そろそろ自分の思っていることをはっきり伝えてもいいんじゃないかと思うんですよ。そこら辺が聴く人にリアリティを感じさせる理由なのかな?と自分では思いますね。

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2002年06月27日 17:00

更新: 2003年03月07日 19:29

文/石垣 窓(フリーボ)