インタビュー

YO-KING

人生の過程にあった必然。ソロ名義で発表されたニュー・アルバム『愛とロックンロール』!!


 真心ブラザーズの活動休止後、本格的にソロで動き始めたYO-KING。先行シングル“LIFE”に続き、このたびロックンロール色の強いアルバム『愛とロックンロール』がリリースされた。どこか懐かしげで、同時に新鮮な響きを持つアルバム・タイトルだ。

「タイトルは単純にカッコイイかなと思って付けたんですよ。〈なんか深刻だけど、軽薄でカッコイイ部分〉ってロックンロールには大切じゃないですか。その両方が詰まったアルバムかなと。あと、リピートして聴いてやっと理解できる作品って、いい表現が多いんですよ。繰り返すほど味が出る、俺はそういうのが好きなんですね。革ジャンもそうですけど。これはまさに革ジャンのようなアルバムで、大人のロックンロールです」。

 革ジャン!大人のロックンロール!実に痺れるフレーズではないか。そして〈大人の……〉ゆえか、アルバム全体を通して歌われているテーマは愛。愛の定義は人の数だけありそうだが、YO-KINGにとっての愛とは?

「愛って……なんなんですかねえ?楽しいものかな。そんな大げさなものじゃないのかも。みんなもっと簡単に〈愛、愛〉言ったほうがいいかも知れないよ(笑)。もうちょっと愛という言葉の価値を下げて、楽しく取り扱ったほうがいいのかもね。実際楽しくて幸せだから、それを歌うしかない。幸せなことをやってるんだから、楽しくてあたりまえって感じかな」。

 YO-KINGの答えはシンプルで、〈愛もロックンロールも楽しいもの〉だったのだ。しかしその一方で、ロックンロールの別の側面にも言及する。

「ロックンロールにはネガティヴで不健康なイメージもあると思うんですよね。でも順番は明るく輝いてるのが先で、その裏に闇があるのがロックンロールだと思う。例えばビーチ・ボーイズが裏ではとんでもないことになってたとかね(笑)。俺は自分の陰の部分ってよくわからないから、明るく健康的なものを自然に出す。そうすると、計算じゃない闇みたいなものが出てくるのかなって思います。それは虚無とかそういうことなのかも知れませんが」。

 楽しさと虚無を併せ持つニュー・アルバム。〈大人のロックンロール〉は奥が深い。

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掲載: 2002年06月27日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:25

ソース: 『bounce』 233号(2002/6/25)

文/須藤 鑑