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インタビュー

PAVEL KOSTIUK

PAVEL KOSTIUK……なるディーゴの新プロジェクト!!

 2000ブラック。インスピレーションはジャズ・レジェンド、ロイ・エアーズが75年に残した名曲の〈think about future, think about change〉というリリック。曲のタイトルをレーベル名に拝借し、「ブラック・ミュージックがもっともプログレッシヴだった時代から学んで、〈今〉の音で表現する」ために、4ヒーローとしてドラムンベース~UKクラブ・ミュージック・シーンを牽引してきたディーゴが主宰するレーベルだ。ジャズ、ソウル、ファンク、ラテン、アフロなどのオーガニックな遺産から、ヒップホップ、ブレイクビーツ、テクノ、ハウスといったDJカルチャー以降のクラブ・ミュージックまで、さまざまな音楽の要素が混在し、特定のフォーマットに囚われないフリー・フォームなサウンドを特徴としている。そんなディーゴが最新レーベル・コンピ『2000 Black Presents The Good Good Vol. 2』を引っ提げてDJツアー(+もちろんW杯観戦)のために来日。2000ブラックの最新リリースとなる『2000 Black Presents Pavel Kostiuk And The Musicals』について語ってくれた。

「パヴェル・コスティックってのはポーランド出身で小太りで大酒呑みの黒人だ。刹那的な快楽を求めて、そんなロックンロール・ライフを愛してる。マッド・サイエンティスト的って言ってもいいな。オレが持ってない特徴をすべて持ってる、とてもフリーキーなヤツさ(笑)」。

 以上がディーゴによるパヴェル像とのこと。そんなパヴェル名義での今作は、ディーゴのフル・プロデュースによる架空のサウンドトラックとも言うべき、壮大かつフリーキーなインストゥルメンタル・アルバムに仕上がっている。

「クレイジーなシアター・ミュージック、フリーキーなミュージカルのサウンドトラックなんだ、架空のね。全曲インストゥルメンタル。パヴェルはクレイジーすぎて、ヴォーカリストと共同作業ができないんだよ(笑)。楽器も含めて全部自分でやったんだ。マーケティングとかプロモーションとかについても何も考えてないし、ルールとかタブーとかは一切ナシ。実験的かも知れないし、すごくストレンジに感じるかも知れない。やりたいことをやりたいようにやったらこうなったんだ」。

 ある意味、〈ディーゴらしさ〉がいちばん出てる?

「そうかもね。意識したわけじゃないけど」。

 制限やタブーを取り払うことによって現れたのは、ディーゴのマッドでドープな深層心理? タイトなブレイクビーツに絡みつくのはDNAに組み込まれたファンクネスと秘めたるマッドネス。ディーゴの内面が滲み出た、最後まで決して気の抜けない問題作だ(いろんな意味で)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年07月25日 12:00

更新: 2003年02月13日 12:16

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/本木 亨