インタビュー

山嵐

ロックの〈音〉ではなく〈気持ち〉を込めたニュー・アルバム『マウンテンロック』到着!!


みずからが立ち上げたレーベル、豪直球からの第1弾シングル“山嶺(いただき)”は、まさに彼らの原点回帰ともいえる刺激に満ち溢れていた。でも、それは氷山の一角でしかない。ベースの武史いわく「ロックの〈音〉じゃなくて、ロックの〈気持ち〉を込めた」という今回のアルバム『マウンテンロック』は、予想だにしないアプローチの連続で、ロックの可能性だけでなく、その未来をも提示した作品と言えそうだからだ。が、完成にこぎつけるまでは多少の迷いもあったようで、ある程度の曲ができた時点で、彼らは初めて〈俺たちは何のスペシャリストか?〉を話し合ったと言う。

「ファーストのころのパンチがないよね、とか、イイんだけどパンチなくない?とか、みんなで悩んで。パンチのあるやつを作ろう!ってことになると、ギターがゴリゴリになるし、便乗して歌詞もイケイケになる。今回は、ゴリゴリ感で統一された感じがする」(武史)。

 想いがひとつになってからは速攻で曲作りに取り組んだものの、その過程ではバンド内でちょっとした衝突もあったという。

「いいものを作るという想いがあるから熱くなるし、そういうの見てるとうれしくなる。そこまで熱くなることがなかったから〈もっとやれ!〉と俺は思ってたんだけど」(武史)。

 それを経て、6人の絆がより深まったことは言うまでもなく、オープニングの『DREAM ON』から全員が一丸となって頂点をめざす様子が伝わってくる。でも、それだけで押し通すだけではなく、聴いてて思わずにんまりという楽曲もあれば、超メロディアスなものもあったりと、〈柔と剛〉あるいは〈静と動〉を使いわけながらあの手この手で迫る。それぞれがめざしていた「元気が出る」(武史)、「エネルギーがCDから出るようなものに」(KAZI、ギター)、「リアルにっていうか等身大を」(SATOSHI、ヴォーカル)などの目標は、すべて達成できてるんじゃないだろうか。そして『マウンテンロック』というタイトルからは、最上のロックを作り上げたという自負も感じる。

「〈デカいロック〉みたいなのでもいいし、〈俺たちのジャンル〉みたいな。よくミクスチャーとか言われがちですけど、そうじゃなくてこうなんだよっていう。俺たちがやっているのは〈マウンテンロック〉、みたいな感じで誇りを持ってやってますけど」(武史)。

 武史が言うところの〈誇り〉ってやつは歌や演奏からも伝わってくるし、それはもちろん、山嵐としての誇りの
ようでもある。

「〈俺たちオリジナル〉ってところがいちばんじゃないですか。そこに自信をもっていきたいってところはあるのかな」(SATOSHI)。

 志は高く、想いは熱く。山嵐はさらなる頂点をめざす。

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掲載: 2002年07月25日 22:00

更新: 2003年02月10日 15:09

ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)

文/岡部 昭彦