Fried Pride
魂と魂がぶつかって生まれた、グルーヴィーな傑作『STREET WALKING WOMAN』!!
Fried PrideはヴォーカルのSHIHOと、ギターの横田明紀男のデュオ。この2人がやっているのは、カッコイイ音楽作り。決して、カッコイイもの探しではない。ここがポイント。2人がぶつかって発生する音のつぶて。そこに立ちのぼる突き抜けたカッコよさには、ファンキーとかスウィンギーってな方便は必要ない――なんて啖呵を切りたい気持ちにさせるんだ、このセカンド・アルバム『STREET WALKING WOMAN』を聴くと。でも、〈こういうジャズなら好き〉って女の子に言わせちゃうキュートさを持ち合わせてるところも彼らの魅力。さて、レコーディングはどんな調子で?
「彼女に罵声を浴びせるようなことも多々あったよ。ナンダコノヤロー!って勢いで」(横田)。
「かなりヴァイオレンスな感じ。ようやく本性あらわしやがったなって思った(笑)」(SHIHO)。
「〈出たな、妖怪!〉みたいなもんか(笑)」(横田)。
デビュー作はジャズ・ファン以外のリスナーからも大評判を獲得した。類い稀な表現力を持つSHIHOの声に横田のスーパー・プレイが合わさって生まれた迫力に、誰もが圧倒されたわけだ。しかし今作はかつてを上回るほどの〈一体感〉が漲っており、バラードにおいてもただ安定した方向に収まることのない緊張感が広がる。
「血が湧く感じが大事だよね。ギターも歌も上手いでしょ?ってところで2人が掛け合ってても長く続くもんじゃないしね」(横田)。
「プレイに対しての彼の厳しさがいまはよくわかるから、腹を割って付き合えるというか。今回はヴァイオレンスがあったなかで、いいものが芽生えた」(SHIHO)。
これまでSHIHOを評するのに〈日本人離れした〉というフレーズをよく見かけた。でも、いまやそれは邪魔。それは横田も同じで、これまでは彼も〈超絶テクニックうんぬん〉という評価のされ方をしてきたが、今後は〈超絶〉と書いて〈ガッツ〉と読ませよう。とにかく、両者に流れる〈血〉を意識したと思わしき表現が噴出しているところが素晴らしい。
「今回は胸をはって、〈メイド・イン・ジャパン〉って言えるものを作れたと思う」と横田が言う。
「自分が日本に生まれ育って音楽を学びプレイをしてきたことは変えようがない。飛び越えようのないものなんだから。そこはいちばん大事でしょ? 今回、シーラ・Eに参加してもらったんだけど(彼女は2人のレーベルメイトでもある)、僕らの音楽聴いて一言〈Good Music!〉って言ってくれてすごく嬉しかった」(横田)。
うん、Fried Prideのなかに流れる血潮を感じ取って、彼女はそう言い表わしたのだろう。シーラに同感!と書いて締めくくることにしよう。
カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2002年08月22日 00:00
更新: 2003年02月10日 12:51
ソース: 『bounce』 234号(2002/7/25)
文/桑原 シロー