インタビュー

Yabemilk

Childiscからミニマル&キュートなエレクトリック・ミュージックを繰り出す新星現る!


 『Sweet Flavor』は、竹村延和のChildiscからアナログ三部作を発表し、そしてあの特殊エレクトロ/ヒップホップ・ユニット、イルリメおよびMr.tobaccoを中心としたSPOTLIGHT作品への参加で、Childiscだけには留まらない活動の幅をみせてくれたYabemilkの初フル・アルバムだ。幼少のころは〈ママとあそぼう! ピンポンパン〉のアナログ盤を愛聴し、ファミコンのゲーム音楽をラジカセに録音して、それを「スロウで再生したり早回しで聴いたりしてニヤニヤ」したりしていたと言う彼のサウンドは、テクノ、ヒップホップ、エレクトロ、ファンク、ゲーム音楽など、幅広い音楽からの影響をミニマルで無駄を削ぎ落としたストラクチャーのなかで展開したもの。

 だけれど同時に、キュートで人懐っこいメロディーとポップな躍動感に満ちていて、それは“Breakfast”“Afternoon Tea”“Evening Meal”、そして“Sweet Flavor”と続く楽曲タイトルなどにも、とてもよく表れている。つまり、全部食べ物関連。そう、Yabemilkは、自他ともに認める〈食いしん坊〉なのだ。食いしん坊が高じて、自身も運営に関わっている京都のパーティーでは、自作のケーキを、にこやかな表情で毎回お客さんに振る舞っているほどなのだ。だからその音は、まるでケーキのように、可愛くってワクワクさせられて、ココロに効く。

「あまりお菓子と音楽は僕のなかでは関連性ありませんが、同じような位置にはありますよね。ケーキ食べておいしい、うれしい。音楽聴いて楽しい、素敵。究極として食べられるソノシートとか作ってみるとおもしろいかもしれませんね。もともとパーティーでケーキを作って出すことになったのは、もっとお客さんとコミュニケーションを取りたいな、とか、実際にケーキ作るの好きだし、っていうことから始まったものなのですが、案外好評だったので続けてます」。

 そんな素敵なパーティー、愛らしくて不思議な音のお菓子を食べに行きませんか?

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年08月29日 19:00

更新: 2003年02月10日 13:09

ソース: 『bounce』 235号(2002/8/25)

文/西山伸基