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インタビュー

高橋徹也

奥深いサウンドスケープのなかに珠玉の歌を溶け込ませた4年ぶりの新作が到着!


98年の『ベッドタウン』以降も精力的にライヴ活動を続けてはいたが、肝心の新作がリリースされないままファンをヤキモキさせていた高橋徹也、実に4年ぶりのアルバム『NIGHT&DAY, DAY&NIGHT』がようやく到着。

「なんかライヴって芸事みたいなところあるじゃないですか?パッと宴会場だされて〈なんかやれ〉みたいな。そういうヘンな芸人力みたいなのはやっぱり鍛えられましたけどね。でもライヴだけやってても実際作品が出てないと伝えたっていう気になんないんでね。TVに出てない芸能人は芸能人じゃないっていうようなのは強く感じてて」。

 というわけで時間をかけずにほとんどが一発録りのライヴ感溢れる全7曲はしかし、高橋徹也の突出した才能を遺憾なく伝える。より純度を高めたメロディーメイカーとしてのリリカルな側面、ヴォーカリストとしての静かな迫力なども必聴だが、全編にジャズやダブの影響色強い奥深いサウンドスケープそのものの見事さこそ特筆したい。

「リズム&サウンドっていうドイツのダブの人たちとかにも影響受けてたり、あと実際自分が普段聴くものってここ3年ぐらいインストが中心だったり。BGMですよね。なんか普通に聴きたいっていう。わりと十代のころとかロックを聴いてて、ロックの聴き方ってなんか人間性云々とか……そういう感じも根っこにあるんですけど、いまはもっと軽く聴きたいっていうのがすごいありますね」。

 よく聴けば、楽器のアンビエンス、音の配置に細心の注意が払われていることが窺えながらも、それはBGMとして流れていても普通に気持ちよい音像として提示されている。もちろんロック少年だった高橋の面影は、淡々としたなかに怒気をはらんだ歌声と生演奏のダイナミズムにしっかりと滲む。インスト中心の音楽ライフから生まれた珠玉の歌たち。それはより幅広いリスナーに訴えるであろう魅力に溢れている。

「ライヴでも新しい客層っていうのが出てきてるんで……最初は〈ロッキングオン・ジャパン〉とかで偉そうにしてた印象らしいんですけど(笑)。実際初めて聴いてみたら、結構普通に楽しめるからライヴに来るっていう。そういうのはすごいありがたい。逆に前の作品を知らない人にも聴いてほしいですね」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年08月29日 19:00

更新: 2003年02月10日 13:09

ソース: 『bounce』 235号(2002/8/25)

文/内田 暁男