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インタビュー

THE FOX

スウィートでロマンチック??南国ムードに溢れたセカンド・アルバム『AINU CLASSICS』


 関西を拠点に精力的なライヴ活動で名を馳せるバンド、THE FOXが、今度は南国ムードたっぷりのセカンド・アルバム『AINU CLASSICS』をリリース。

「とびきり気持ちいい音楽が作りたいって思ったんですよ。イメージはクリアに浮かんでいて、そこからジワジワとバランスを重視しながら作っていきました。メロディーやリズムと相性のいい単語を散りばめて、描いたムードや情景に良く馴染むコトバを探しながら……」(進藤ユカ、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 作詞作曲も手掛ける彼女が放つ言葉は、時折〈はて……何語だろうか?〉という意味不明なサウンドへと変貌する。

「曲が思い浮かんでから歌詞を書くんですよ。歌詞よりもムードとか場面とかそっちのほうが重要だから、そこにしっくりくるかこないか吟味していく感じですね」。

 その〈天然記念物的〉歌詞からは、徹底的に不快な要素が排除されているからだろう。意味に囚われることなく、目眩く情景だけが浮かんでくる。〈コトバ〉の持つ力より、響きの持つ魔法を追求する、それがTHE FOXの根底にあるようだ。

「友達や恋人に語りかけるようなトーンで歌っていたいんです。個人差はあるだろうけれど、本当に和んでいる場所ってそんなところなんじゃないかな。そういう空気を、音楽を通して共有したいんですよね」。

 子供の発明品を思わせる演奏も魅力だが、子供には持ち得ない柔らかさもまた魅力のひとつ。そして今回はDETAMINATIONS、BUSH OF GHOSTSよりICCHIE(トランペット)とYOSSY(ピアニカ)の参加も、楽しげなバカンス・ムードを盛り上げている。4曲目“AINU CLASSICS”の底で流れる水音は、トランペットをバケツの中に突っ込んで鳴らしたのだとか。

「これはICCHIEの案なんですけど(笑)。レコーディングはホントに賑やかで楽しくって。南の島にバカンスにでもいって、ロマンスに出会うような気分で聴いてもらえれば嬉しいですね。ラク~な気持ちで」。

『AINU CLASSICS』を聴いていると、まさに南の島にでもいるような気分に。そしてスウィート&脱力なロマンスに出会えるような錯覚すら……真顔で感じてしまうはず。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年09月05日 11:00

更新: 2003年02月13日 12:09

ソース: 『bounce』 235号(2002/8/25)

文/立野 幸恵