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インタビュー

LL Cool J

常に第一線に君臨し続けてきたヒップホップ界の至宝がついに10枚目のアルバムをリリース!!
闘魂みなぎる『10』は、LLクールJの衰えぬ剛腕ぶりを証明する大作だ!!

 10年選手という言葉がある。10年間、ある分野で活躍した者にのみ贈られる賛辞にも似たその言葉が、いったいどれほどのラッパーに当てはまるだろうか。すでにベテラン・ラッパーの域に達しているLLクールJは、今年でデビューから17年目だから、10年選手の条件はとっくにクリアしている。同じ数字の〈10〉でも、彼はもっととてつもないことをやってのけた。最新作『10』が、文字通り通算10枚目のアルバムなのである。アルバム1枚、はたまた12インチ・シングル1枚で消えていくラッパーたちが数知れないというのに、ひとりのラッパーがふたケタの10枚のアルバムをリリースしたのは、恐らくLLが初めてだろう。まさに前人未到の快挙としか言いようがない。

「デビューの時から10枚のアルバムをリリースするんだってことはわかってた。だって、デフ・ジャムと契約した時、すでにアルバム10枚のリリースを約束されてたからさ! もちろん、俺以外にも10枚のアルバムをリリースしたラッパーはいるんじゃないかな? 名前は思い浮かばないけどさ。ただ、コンスタントに、しかも俺のアルバムぐらいのレベルを保った作品を10枚発表したラッパーは俺しかいないと思う。その点は自信があるよ」。

 自信満々のそんな発言も、確かな実績と実力を備えたLLが口にするからこそ、少しもイヤ味に聞こえない。この17年間、ずっとトップの座を守ってきたLLは、いまなお彼自身の言う高いレベルの新作を発表し続けている。

「今回は通算10枚目だし、シンプルなタイトルをつけた。でも、決して到達点じゃないってことはハッキリ言っときたいな。俺はまだまだ進化の途中だと思ってる。デビューしてからの10数年間で、ラッパーをやめようと思ったことも何度かあるけど、結局、俺はラップが大好きなんだろうな。何だかんだ言って、こればっかりはやめられない(笑)」。

 近年では、映画俳優としても開花したLLだが、彼の原点はやはりラップ。以前インタヴューした際に「死ぬまで歌い続けたフランク・シナトラみたいに、俺もジイさんになるまでラップし続けたい」と真面目に語っていたその気持ちは、いまも変わらないという。

「俺が自分自身をもっとも素直に表現できるのがラップ。歳はとっても(現在34歳)、気持ちのうえではデビュー時と変わらないつもりさ。アルバム20枚までまだまだイケるよ!」。

  通過点にして大傑作の『10』には、ラップを心から愛するLLの粋が詰まっている。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年11月07日 17:00

更新: 2003年02月13日 12:10

ソース: 『bounce』 237号(2002/10/25)

文/泉山 真奈美