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インタビュー

Sum 41

2001年、カナダから発せられた火種『All Killer No Filler』は、瞬く間に世界のキッズを燃えあがらせた。そしてさらにパワーを増したセカンド・アルバム『Does This Look Infected?』が到着!! 今度は大爆発だ!!


 サム41はフェスティヴァル出演のために訪れていたオーストラリアからの直行便で、ふたたび日本の土を踏んだ。彼らと会うのはこれで3度目なのだが、な~んにも変わっていない。相変わらずおバカで騒がしくて愛すべきヤツらだった。バンド内でいちばんうるさい(スポークスマンともいう)ドラムス、スティーヴォ32は「普段の行動は歳をとるにつれてガキっぼくなっていくね」とほざく。その性格が幸いしたのか、それとも音楽的な才能に惹かれたのか、向こうではリアム・ギャラガーという新しい友人も出来た。あのオアシスの、である。

 全世界で300万枚以上も売れたファースト・アルバム『All Killer No Filler』に続くニュー・アルバム『Does This Look Infected?』における、彼らの見違えるような成長ぶりには驚かされた。いつもいっしょに風呂に入っていた友達のオ○ンチンに、ある日突然毛が生えているのがわかったときと同じくらいのインパクトがある。

「それは俺の胸毛だよ(笑)。俺たちみたいに積極的にライヴをやっていればおのずと成長するわけで、それが音楽に反映されるのは当然だしね。前はみんな19とか20だったし、今回のアルバムはその間の成長の証だと思う」(スティーヴォ)。

 サム41の成功は、昨年が300本以上、3か月をレコーディングに費やした今年が200本以上という驚異的な数のライヴ活動抜きでは語れない。ヨーロッパ・ツアーではホテルの部屋からテレビを放り投げたりの無茶をしながらも、ライヴを重ねることによってバンドのスキルを確実にアップさせている。

「イヴェントとかに出てもほかのバンドを脅威に思ったことはないし、自分たちの自信がなくなることもなくて、逆にいい意味で刺激されてるよ。唯一、ワォ!と思わされたバンドはグリーン・デイぐらいかな」(コーン、ベース)。

 ステージとは逆にオフはおとなしいコーンが断言するだけあって、来日公演でのパフォーマンスも20歳そこそことは思えない地に足の着いたものだった。そして、前回の来日の際に「次の作品はハードなものになると思うよ」(ビジーD、ヴォーカル/ギター)と言っていたとおり、今回のアルバムはある意味ストイックにすら感じるハード&エッジーなサウンドが連続する。大ヒット曲“Fat Lip”に代表されるようなファニーでポップな要素は見当たらない。

「実は前のアルバムでもこの路線をたどっていたはずなんだけど、たぶん今回は自分たちのやろうとしていることが明確に出ただけなんじゃないのかな」(ビジー)。

 きわめつけは「メロディックなスレイヤーというのがキーワードだね」(ブラウン・サウンド、ギター/ヴォーカル)という発言で、「そういう意味じゃ世界でいちばんのフォローアップ・アルバムだよ」(コーン)と続ける。それは身体を揺さぶる激しさと、心に染み入るメロディーの融合を意味する。歌詞も以前はお気楽なノリだったのが、“Still Waiting”では例のテロを題材にするくらいシリアスで深いものになった。だからなのだろうか、今回のアルバムに収められた楽曲は、言葉の壁を越えてハートに訴えかけてくるものがある。

「やっぱりリアルだからじゃないのかな。音もそうだし、とくに今回は歌詞もそうだしね。たぶんそれがうまく伝わったんだと思う。フェイクなものはすぐにわかっちゃうからね」(ビジー)。

 別れ際、彼らは「また来年来るよ」という言葉を残して、プロモーションを兼ねたツアーのためにアメリカ本土へ飛んだ。世界中でふたたび〈サム41旋風〉が吹き荒れるのは、もはや時間の問題である。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年12月05日 16:00

更新: 2003年02月07日 15:11

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/岡部昭彦