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インタビュー

QYPTHONE

3人編成となった新生QYPTHONEが放つ初フル・アルバム『Montuno no.5』完成!!


 98年以降3枚のミニ・アルバムをリリース後、QYPTHONE初となるフル・アルバム『Montuno no.5』が完成。ギターとドラムの脱退を経て〈初のアルバム〉でもある本作について、「以前の音源もいまだに大好きでよく聴くけど、制作上はコンセプトずれしなくなったかな。ちなみに“On The Palette”が3人になって初めて作ったトラックなんだよね」と語るのは、リーダーでありキーボーディストの中塚武。そのコンセプトどおり、“On The Palette”は、ウッドベースやパーカッションの生音が、打ち込みのリズム・トラック上を軽やかにドライヴしている。月並みな話、これが何度聴いても爽快――そういえば“On The Palette”は、小林径監修コンピ『ROUTINE』、東京発ボサノヴァ・コンピ『TOKYO BOSSA NOVA』という、舞台の違うコンピ2作でセレクトされいる。

「径さんのほうはぜひミックスやらせてよ、っていわれてデータを丸々お渡ししたから、だからあれは径さんミックス。で、『TOKYO BOSSA NOVA』のアナログ盤のほうはまた別ヴァージョンだし、実はまだ出してないのが2つある(笑)」(中塚)。

 以前ならば、強靱なる肉体派、あるいはジェイムズ・ブラウンのバック・バンドに例えられたQYPTHONEのライヴについて、ヴォーカルの大河原泉は「ヨーロッパでライヴやってみたけど、向こうのオーディエンスは、考える余地を与えてくれない。つまり、〈素っ裸〉で歌う喜びを収穫したの」と語る。一方、ライヴと同様にDJ活動も盛んな中塚に関しては、「踊ることが日々日常の動詞として成り立ってる」ことを痛感してきたという。そして、フランクフルト滞在中に「シンセやら機材が揃ってたんでつい……」作ってしまったという“Love Groovy Saucer”からも、現在のQYPTHONEのキラリと光る感性が聴こえてくる。〈リクエストに応答型〉には収まらない、奇想天外なジャズ、ボサノヴァ、ポップス、ハウスをひとつのカップで楽しませてくれる『Montuno no.5』。これを〈ファースト・アルバム〉といったら過言ですか……?

「まったく差し支えないですね(笑)」(中塚)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年01月09日 12:00

更新: 2003年03月10日 11:52

ソース: 『bounce』 239号(2002/12/25)

文/立野 幸恵