WRENCH
より明確なヘヴィーネスを打ち出したニュー・アルバム『OVERFLOW』完成!
ここ3枚くらいでもっとも激しいアルバムじゃないか? 『OVERFLOW』は。プロトゥールズを駆使した初のフル・デジタル録音ながら、あくまでも人力グルーヴ主体の気迫のこもったプレイが、聴く者の感情を上げて上げて上げまくる。緻密な打ち込みビートのサポートを得て、WRENCHのハード・ロックな一面を思いきり堪能できるアルバム
である。
「前回、リフで攻める曲が意外と少なかったんですよ。ライヴで演ってても、ちょっと物足りない印象があったから、今回は自然と出てきたのかもしれない。もっと激しい部分があってもいいね、ぐらいの」(坂元東、ギター)。
「骨組みだけ録って、あとはその場その場の想像力をストックしておいて、試していく。前のアルバムよりも、もっと潔く明確に曲を作り込んでいきたかった。ダラダラやらない! そのへんかな、ポイントは」(Shige)。
ドラムは前後、ギターは左右、ベースは真ん中という空間で高く舞い上がるヴォーカルは高揚と覚醒を促す。そこでは相も変わらぬShige流のメッセージが発せられるわけだが、時節柄、今作には某超大国への辛辣なプロテスト・ソングも1曲含まれていたりする。
「〈原爆の日〉にたまたまTVをつけてて、それで思ったことを書いたんだけど。アメリカの大統領が1回も謝りに来てないっていう事実が、最近の世の中の事情とシンクロして、思わず一筆とったんですけどね。ほんとに言いたいことをいち一般市民として言わせろ!みたいな感じで、あんまり深く考えずに、そのときのまま。そうじゃないと活きてこないから」(Shige)。
そして、WRENCHの歴史はいつのまにか10年を超えた。ヘヴィー・ロックの世界で、これほど長く最前線で激しく動き続け、しかも未来が期待できるバンドは本当に稀だ。2003年も、マイペースで力強い活動を期待したい。
「ロックには、時代がいちばん背負ってるものがよく表れると思う。オレらも、それができてるから長くできてる。こういうのがおもしろい、ああいうのがおもしろい、って言いながら転がっていく……やり方自体はラフですよね。それが、オレたちのロック観」(Shige)。