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インタビュー

SOULHEAD


 昨年、“STEP TO THE NEW WORLD”で衝撃的なデビューを果たした北海道出身のSOULHEADは、YOSHIKAとTSUGUMIの姉妹で構成されるデュオ・グループ。同曲以後もセカンド・シングル“LOVER, KNIGHT, MAN”、そして最新シングル“空”とコンスタントに前進してきたふたりの魅力は、ぴったりと息の合ったきれいなハーモニー、スムースでありながら力強いリード、TSUGUMIの迫力あるラップ、そして太いサウンド・プロダクションにある。R&Bやヒップホップが──というより、もっと広い意味での〈音楽〉が持つ可能性を、ふたりは大胆かつ緻密に表現しているということである。

 そんなふたりが、いよいよ待望のアルバム『Oh My Sister』をリリースする。収録曲はどれも完成度が高く、何度でも聴きたいと思わせる説得力に満ちている。今年のベスト5に入れても差し支えないこの完成度は、どのようにして生まれたのだろう。

「東京に来てから、OCTOPUSSYっていうふたり組のプロデューサー・チームを紹介してもらったんです。そうしたら息がぴったり合って」(TSUGUMI)。

「それから簡単な機材を使って曲を書きためるようになったんですけど、基本的にはわたしたちが書いた曲を彼らが組み立てて、最後にエンジニアのD.O.I.さんが引き締めてくれたっていう感じですね」(YOSHIKA)。

 ちなみに、このわずかな期間に書きためた曲は90曲もあるというから驚きだ。そこまでの集中力、そして(曲作りに関していうと主に構成の仕方に顕著な)音楽的センスは、どうやって培われたものなのだろう?

「両親の影響で、ちっちゃいころから音楽に親しんでたんです」(YOSHIKA)。

「意識的にというよりも、自然に聴いてた感じですよね」(TSUGUMI)。

 なるほど、意識的に作り上げたのではなく、自然に身に付いたものだということなら、その話には説得力がある。

「だからそのころからずっと、自然に進んできただけです。こういう仕上がりになったのも、計画したわけじゃない。向こうのヒップホップとかを聴いて〈ここはこうしたほうがかっこいいな〉とかいろいろ試してきたから、こうなったのかもしれません」(TSUGUMI)。

 どうあれこのアルバム、ひいてはSOULHEAD自体が極上のR&Bテイストを備えているのは、ふたりのそうした〈無理のなさ〉のせいなのだろう。

「でも、〈R&Bをやっている〉っていう意識は持っていないんです。自分たちがやりたいことをやりたいようにやったら、あとからそれがR&Bと呼ばれたというだけで」(TSUGUMI)。

「もちろん好きで聴いている音楽はR&Bやヒップホップですけど、だからといって特別に自分たちがR&Bシンガーだという自覚はないですね。それに、あえてめざそうという姿勢でもないかな」(YOSHIKA)。

 つまりこの『Oh My Sister』は〈R&Bという音楽のフォーマット〉に沿って作られたわけではないようだ。結果的にR&Bとの接点は備えているが、基本的にふたりの生きてきた道のりが示された作品なのである。

PROFILE

SOULHEAD
78年北海道生まれの姉YOSHIKAと、81年生まれの妹TSUGUMIによるヒップホップ/R&B姉妹デュオ。北海道在住時より、みずからがクラブで歌うために既存のヒップホップ/R&Bトラックにオリジナルの詞とメロディーを乗せ、プロデュース能力を磨きながらイヴェント出演を重ねる。そしてデモテープがきっかけとなり、2002年8月ファースト・シングル“STEP TO THE NEW WORLD”にてデビュー。全国のFMを中心に話題となる。その3か月後にはセカンド・シングル“LOVER, KNIGHT, MAN”を放つ。先ごろリリースされたサード・シングル“空”も好評のなか、3月5日に待望のファースト・アルバム『Oh My Sister』(ソニー)がリリースされる。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年03月06日 12:00

更新: 2003年03月06日 16:26

ソース: 『bounce』 240号(2003/2/25)

文/印南 敦史