インタビュー

東京スカパラダイスオーケストラ

前作の大成功でテンションをグッと上げたスカパラが贈る、その名もまさに!……なニュー・アルバム!


 頭のてっぺんから尻尾の先まで高品質のスカがたっぷり詰まったゴキゲンな作品――オリジナル・アルバムとしては通算10枚目となる東京スカパラダイスオーケストラの新作『HIGH NUMBERS』は、そんなふうに1mgの迷いもなくキッパリ言い切れる会心の仕上がりだ。トランペットのNARGO(ちなみに彼はタワーレコードのポイント・カードを40ポイントごとに使用するという)とドラムスの茂木欣一(で、こちらは100ポイントまで貯めて〈満点オメデトウ!〉のメッセージを確認する)が、この傑作について語ってくれた。

「前作の『Stompin' On DOWN BEAT ALLEY』が多くの人に支持されたことが嬉しくて。それで加速したっていうか」(茂木)。

「うん。プレッシャーとかもとくになくて、逆にいまのバンドの勢いだったり、この〈いい感じ〉を早く出さないとダメでしょう!って思ったんです。こりゃ休んでる場合じゃないなって」(NARGO)。

 そんなわけで、ここには豊富な経験&実績(これまで、どれほど多くのアーティストの作品に参加してきたことか!)に裏打ちされた自信と野心と、そして〈まあ、とにかく楽しめよ〉とでも言っているかのようなハッピーなフィーリングに満ちている。

「1曲ずつ録っていくにつれて〈なんか明るいなあ、今回のは〉って感じてきて。明るくてハイな印象っていうか、ゆったりしたテンポの曲でも、なんとなくヤバいの(笑)。そのハイな雰囲気が全体に広がっていったね。しかも、〈すべてが繋がった〉みたいな感覚もあって。そう、これまで十数年間やってきたことが今回すべて繋がったんだよ。メンバー同士が出し合うものが、ことごとくツボに入っていくの。それが楽しくて、どんどん転がっていったんだよね。だから、ただ明るくて楽しいだけじゃなくて〈これなんだよ!〉っていう感じも炸裂してて」(NARGO)。

 まるで宇宙遊泳をしているかのように心地良い(そして同時にヤバい)ナンバーがあったり、テンション高めの呑んだくれ讃歌があったり、ムーディーでスウィートなラヴァーズ・ロック調の楽曲があったり、牙をムキ出しにした暴走チューンがあったり……と、そんな具合に全14曲で14種類のスカの楽しさを味あわせてくれる。茂木の、風のように爽やかなヴォーカルをフィーチャーした先行シングル“銀河と迷路”も、もちろん収録されている。

「バンドがいま持ってる〈いいムード〉に影響を受けて、それが僕の歌にも表われてると思います」(茂木)。

 人柄の良さが滲み出ちゃってる、なんだか初々しい歌声。

「ここだけは10枚目のアルバムだとは思えないよね(笑)。でも自分的には思いきりカッコつけて歌ってて。詞を書いた谷中敦(バリトン・サックス)さんからも〈エラそうに歌え〉って言われたんでね」(茂木)。

 いずれにしても、この茂木のヴォーカルがスカパラの強力な新兵器であることは間違いない。

「あ、そうそう、13曲目に入ってる“Skank in My Bones”は次のツアーのために作った曲なんですよ。モッシュ用です。だから存分に暴れてほしいですね(笑)」(NARGO)。

〈ツアー〉というのは、3月から6月半ばにかけて敢行されるオール・スタンディングの全国ツアーのこと。きっとベテランとしての貫録&まだまだこれからだぜ的なスピリットが同居した、とんでもなく素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることだろう。

「楽しみにしてて下さい……というより、むしろ自分たちが楽しみなんだよね(笑)」(NARGO)。

「まず自分たちが楽しまないとね。そうじゃなきゃ意味がないというか、そこから始めないと何も伝えられないでしょ」(茂木)。

▼東京スカパラダイスオーケストラの近作を紹介。

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掲載: 2003年03月06日 17:00

ソース: 『bounce』 240号(2003/2/25)

文/大野 貴史