インタビュー

The ピーズ

熱狂的な歓迎を受けて、愛すべきロックンロール・トリオが5年ぶりの復活!


5年8か月ぶりとなるニュー・アルバム『The ピーズ』が各方面で、ありえないぐらい大きな話題を呼んでいるTheピーズ。渦中に置かれている当の本人は、一体この〈現象〉をどのように捉えているのだろう?

「照れくさいけど、やっぱ嬉しいよね。でもさ、今回、誉めてくれてる人って、みんな顔色悪いような、あきらかに普通と違う人ばっかりなんだもん。〈ピーズが復活して嬉しいです!〉なんて、コアぶりを発揮しちゃってよー。けど、いいっス。みんなが元気ならそれでいい。まあ頼むから誰か1人ぐらい出世しろよな(笑)」(大木温之、ヴォーカル、ベース:以下同)。

そんな出世知らずのサエない面々(筆者含む)はもちろんのこと、彼らの存在をいままで知らなかったようなうら若き10代のリスナーまでもが、今回のアルバムを少なからず歓迎しているというこの事実。そのあたりについては、ズバリ?

「時代の流れとか、そういうのはよくわかんない。まあ、こういう音楽があってもいいんじゃない?ってぐらいのもんでしょ。俺ら、やってること古臭いからねー。21世紀になったっていうのに、20世紀のまんまやってる。でも、もういいよ。新しいことなんて、いまさら面倒くさい」。

実際、今作に詰め込まれているのは、活動休止前と寸分も変わらない、絶望と希望をない混ぜにした、どうしようもなくみじめだけど、このうえなく愛おしいロック・ナンバー。この変わらなさ、ある意味、重要無形文化財レベルかも。

「5年だなんだっていったってさあ、新しい事件とか俺のなかで一切起きないから。いつも同じ奴と飲んだりとかしてるし。ネタも自分のことしかねーから、たまたまこうなるんだよ。ウィンド・サーフィンでもやるようになったら、違う世界を歌えるのかもしれないけど(笑)。へへへ。無理だな」。

度重なるメンバー・チェンジと活動休止を繰り返しながら、ここまで〈生き延び〉続けてきたTheピーズ。そんな彼らも、バンド結成から今年で早17年目を迎える。

「同じ時期にバンドやり始めた連中も東京から田舎に引っ込んだりとか、みんな、いつの間にか居なくなるからな。寂しいよね。まあ、これからもいろいろあると思うけどさ、チンピラで、都会にしがみついて……ボチボチ音楽やってきますよ」。

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掲載: 2003年03月13日 11:00

更新: 2003年03月13日 19:01

ソース: 『bounce』 240号(2003/2/25)

文/望月 哲