インタビュー

a million bamboo

ふぅ~……このうえなくリラックスさせられる、いい湯加減のアルバム『竹乃湯』


「仕事行く奴もおれば、仕事も行かんで女のことばっか考えてる奴もおったり……ホント、全員見事にバラバラですね。ひどい奴になるとリハーサルにすら来ない人間もおるぐらいで。〈嫁はんがツワリになると思うんで行けません〉って。なんで、そんなことわかんねん(笑)」(SUMI、トロンボーン:以下同)といった塩梅で、2001年の結成以来マイペースな活動を続けてきた、大阪発のオーセンティック・スカ・バンド、a million bamboo。そんな彼らが、このたびファースト・フル・アルバム『竹乃湯』をリリースする。

「裸の付き合いというか、なんでも許し合えるような仲なんで、そういったイイ意味での〈ぬるま湯感〉みたいなものが、今回のアルバムにはしっかりと出たんちゃうかな?」。

 まさに! プレイ・ボタンを押した瞬間から、その日のスケジュールをすべてチャラにしたくなるような、なんともユル~いヴァイブスを作品全体から醸し出すこととなった本作。ちなみに一風変わった作品タイトルの由来はというと?

「ウチらライヴやる前に、決まって風呂に行くんですよ。で、風呂上がりにみんなでダラダラ酒飲みはじめて。まあ、そこで大抵できあがってしまうんですけどね。練習はまあまあ本気、リハもかなり力入れてる、そのくせライヴがいちばんユルい(笑)。こないだもドラムが泥酔して、お客さんに起こされながら叩いてたり。酔っぱらって記憶がないときの演奏を〈いままでのなかでいちばん良かった!〉って誉めてもらったり。そんなんばっかりですわ」。

 ビバ!人間。スカタライツ直系ともいえるオーセンティック・スカの要素を根幹に据えつつも、それぞれの人となり──ひいては、それぞれの日常すらもが、彼らのサウンドからは、あられもない形で浮かび上がってくるのだ。

「ウチのメンバーは、どこでも役に立たなかったようなカスの集まりなんですよ。見事なぐらい無能の集まりで。まあ、そんなこと言うてる自分もトロンボーン的に言うたら、まったく大したことないんやけど(笑)。でもね、ことあるごとに〈イイよSUMIちゃん!〉ってみんな言うてくれて。ウチのバンドにいると、そこにおって笑ってるだけでいいんや!って思えるような瞬間があるんです。実際、そういうときは楽器なんか吹いてないし。ステージの上で気持ちよく笑ってるだけでホンマええんちゃうかなって心から思えてしまうんですよね」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年04月03日 15:00

更新: 2003年04月14日 22:31

ソース: 『bounce』 241号(2003/3/25)

文/望月 哲