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インタビュー

Longwave


 NY──ロックンロールにとって、ここほど居心地の良い場所はないのでは?と思えるくらい刺激的なサウンドがつぎつぎと生み落とされている街。彼らロングウェイヴもそんなNYで結成されたバンドである。ストロークスの前座なども経験済みだが、いわゆる〈ロックンロール・リヴァイヴァル〉の枠にスッポリとはハマらない。轟音ギターによるサイケデリック・ウォールや甘いメロディーは、むしろソニック・ユースやマイ・ブラディ・ヴァレンタインを連想させる。そんな彼らのデビュー・アルバム『The Strangest Things』は、マーキュリー・レヴやフレーミング・リップス、日本ではナンバーガールの仕事でも知られるデイヴ・フリッドマンがプロデュースしている。彼の手によって、バンドの音像が見事な形となりインパクトを与える。なぜ、デイヴを選んだのだろう? ギターのシャノン・ファーガソンに訊いてみた。

「99年にバンドを結成した頃、僕らはマーキュリー・レヴに夢中だったんだ。だからデイヴと仕事をすることは僕らみんなの夢だった。彼はプロデューサーとしても人間としてもスーパー・ナイスだね」。

 それじゃあ、レコーディングはスムースに進んだってこと?

「スティーヴ(・シルツ)はデイヴの家で彼の奥さんや子供たちといっしょにプールで遊んでいたっけ(笑)。仕事中、デイヴが感情的になったり、僕らがイライラしたこともあったけど、彼はバンドがどうしたいかってことを理解していたし、僕らが間違ったことをしても怒ってスタジオを出て行くことはなかった。毎晩のように〈大丈夫だよ〉って言い聞かせてくれたんだ」。

 デイヴのタルボックスロード・スタジオにおいて、ほどよいムードで作られた本作。さて、この作品で君たちはどんなことを表現しようと思っていたのかな?

「なるべく簡潔なものにしようってね。長時間でダラダラしたアルバムにはしたくなかったんだ」。

 たしかにどの曲もシンプルな構成で、スパッとロックしている。いまだ観たことのないロングウェイヴのライヴは、いったいどんなことになっているのだろうか?

「レコードよりももっと激しくて、もっとノイジーで大爆音だね。エネルギッシュに演奏しているよ。かと思えばスロウな曲やアンビエントっぽいものも演ったりして、うまくバランスはとってるつもりさ」。

 君たちの魅力、そしてデイヴの力を借りることで、さらにパワーアップしたフィードバック・ノイズやディレイ・サウンドの魅力を、言葉で表現してみてくれないかな? 難しいとは思うんだけど……。

「う~ん、確かに難しいな(笑)。僕らのギター・サウンドの魅力は……えーっと……、他人に訊かないとわからないよ(笑)。ノイジーでスペイシーで……あははは、聞こえるままだね(笑)。エフェクターは10種類くらい使っていて、とにかくそんな面倒な加工をしたサウンドが好きなんだ」。

 ……困らせて、スミマセン。しかしこれほどギターが感情的に響くのは、ロングウェイヴの武器だと思う。しかし、それはしっかりしたメロディーがあってこそ。果たしてどんな音楽が滋養となり、彼らのメロディーは生まれてきているのだろうか?

「メンバー全員が大好きなのはフレーミング・リップス! ほかはみんなバラバラで、キュアーやデヴィッド・ボウイ、クラッシュなんかが好きみたいだよ。フレーミング・リップスについては、もし彼らの前座ができるのなら、どこにでも駆けつけるつもりさ!」。

 やはり際立ったメロディーを持つアーティストからの影響が大きいようである。サウンドも重要だが、メロディーを大事にしているバンドは素敵だね。じゃあ最後に、君たちにとっての〈The Strangest Things〉とは?

「僕らにとっての〈いちばん奇妙なこと〉は、このアルバムが日本でリリースされるってことかな(笑)。こんなに早くリリースされるとは思ってもみなかったからさ。でも、すごく嬉しいんだ!」。

PROFILE

ロングウェイヴ
99年、NYで結成。スティーヴ・シルツ(ヴォーカル/ギター)、シャノン・ファーガソン(ギター)、デイヴ・マーチズ(ベース)、マイク・ジェイムズ(ドラムス)の4人は、地元のクラブを拠点にバンド活動を始め、2000年にクラブのマネージャーが立ち上げたレーベル、ルナシーからデビューEP『Endsongs』を発表する。同作品の内容とライヴが評判となり、2002年にはストロークスのオープニング・アクトを経験、知名度をさらに高めた。同年の春にはデイヴ・フリッドマンをプロデューサーに迎えてレコーディングを開始、メジャー・デビューが決定する。さきごろファースト・アルバム『The Strangest Things』(RCA/BMGファンハウス)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年04月10日 11:00

更新: 2003年04月14日 22:32

ソース: 『bounce』 241号(2003/3/25)

文/米田 貴弘

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