インタビュー

ロレッタセコハン

福岡を拠点に活動するジャズでパンクな3人組が、クールでロレった新作を発表!!



 クールでニヒルな2人の伊達男に1人の美女。その3人にプレイさせれば、クールでストレンジでビューティフルな音楽が生まれてくる。映画「ブルース・ブラザーズ」の日本語吹き替え版の中の「このオルガン、セコハンのうえに音がロレってるぜ」というセリフからバンド名が取られたという、出利葉信之(アルト・サックス)、豊嶋義之(ベース、ヴォーカル)、時津梨乃(ドラムス)の3人からなるロレッタセコハン。ジャズでロックでパンクでポップ……説明し難いオリジナルなサウンドを彼らは創り上げる。強いて言えば、80年前後のNYダウンタウンのノーウェイヴ・シーン、特に初期のラウンジ・リザーズに近い、乾いていてささくれだった、先鋭的かつ前衛的でひねくれた感覚が挙げられるだろうか。メンバーは自分たちの音楽を「大衆音楽」(出利葉)、そしてただ「ロレッタセコハン」(豊嶋、時津)と呼ぶ。そんな彼らがみずからのレーベルを立ち上げ、あえてモノラルで一発録りされた新作『成長の記録(による活動資金調達)』をリリースした。

 ロレッタセコハンは94年に結成、98年に時津が加入後(時津は以前、椎名林檎とバンドを組んでいた)、本格的に活動を開始して、これまでに2枚のアルバム『前衛フランス』『ゴットハムの三りこう』をリリースしている。その音楽性ゆえにどのシーンにも括られることなく、「自分のスタンスで自由に活動できる環境」(出利葉)という福岡でバンドを〈成長〉させてきた。目まぐるしく移り変わる変則的なリズムや、コード(和音)を超えた効果的(?)な不協和音の多用など、3人が3人好き勝手に音を出しているようにも聞こえるが実は緻密なアンサンブルは確信犯なのか、「音楽に限らず普通なら出会わないであろう何かと何かを出会わせる〈触媒〉のようなバンド」(豊嶋)というバンド観が、常に斬新で刺激的な彼らの音楽性を言い表しているといえるだろう。また、音楽に求めることについての3人それぞれの発言も、彼らの音楽を知るキーとなるかもしれない。

「僕は音楽に何かを求めているのではなく、音楽自体を求めているように思います」(出利葉)。

「原始本能を取り戻すこと」(豊嶋)。

「私は音楽に詳しくありませんが、演奏をしていると自分自身楽しめるし、聴いてくれている人も同じように楽しんでもらえたらいいなと思います」(時津)。

▼ロレッタセコハンの作品を紹介。

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掲載: 2003年05月01日 16:00

更新: 2003年05月01日 18:43

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/ダイサク・ジョビン