インタビュー

tobaccojuice

ユルさのなかに鋭さを忍ばせる、4人の快楽主義者たちから届いたデビュー盤!!


tobaccojuice――その毒々しいバンド名からゴリゴリのハードコアやヒップホップを連想する人もいるかもしれないが、実際にこの4人組が鳴らす音はその対極に位置するもの。レゲエ、ブルース、カントリーなどの泥臭さを自分たちなりのフィルターで濾過し、心地良い揺れのあるルーズなグルーヴと共に聴かせてくれる。

「ノリとしては60年代のフォークに近いと思うんですけど、突くところはちゃんと突く、でも基本的にはユルい。そういう感じですよね。結局、自分たちが気持ち良くなれるものをやると、そうなっちゃう。だから、演奏していて自然に体が動く範囲でしか曲を作ってないんです」(松本敏将、ヴォーカル/ハーモニカ)。

「どうもカチっとしたものってやってると疲れちゃう。だから、ハワイアンとか、ラジオのFENで流れているカントリーなんかの、ホワーンってゆったり流れてる感じ、あれがいまやってる雰囲気に近いのかな、と。で、たぶんそういうのが好きな人が集まったバンドなんじゃないですかねえ」(大久保秀考、ギター/コーラス)。

「結局、快楽主義者なんですよ」と松本が言うように、彼らの作曲は自分たちの快楽のツボを探ることから始まる。居酒屋での気楽な会話のようなジャム・セッションからコアとなる部分が完成し、そこに「自分が日常のなかで抱えているブルース」(松本)を表現した日本語詞が乗る。そうして完成したのが6曲入りミニ・アルバム『喜びがやって来る』。ボブ・ディラン “Like A Rolling Stone”を居酒屋感覚で翻案したかのようなアーシーなナンバー“プカプカプーカ”、歌謡味溢れるロックステディー調の“トライアングル”など、どの曲にも、ユルさのなかに聴き手をグサリと突き刺す言葉が仕掛けられている。

「練習して、なんか気持ち悪いなってなったものは人前でやらない。そうすると、自然とああいうダルな感じになっちゃうんですよ(笑)」(大久保)。

自分たちの快感原則や体内リズムに忠実であるがゆえに生まれるグルーヴ。彼らの音楽を聴いているとアタマより先にカラダが反応してしまうのは、おそらくこのグルーヴのせいなのだろう。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月01日 16:00

更新: 2003年05月01日 18:47

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/土佐 有明