インタビュー

惑星

激しさと叙情性を湛えたロックンロールが独特の色彩を放つファースト・アルバム!


 惑星というバンドが僕らの前に姿を現してから4、5年は経つわけで、インディー・ロック、とくに激しくエモーショナルなサウンドに目(耳)配りを利かせていた人ならば、お馴染みの名前だろう。ピクシーズのトリビュート盤に参加してたり、モーフィンとのスプリット・シングルを出してたり……そんな情報もすでにインプット済みではないかと。しかし、今作『惑星』はメジャー・ファースト・アルバム。ライヴ・パフォーマンスにおけるとんでもない熱量が冷めることなくパッケージされていることは言うまでもなく、すべてにおいてスキルを大幅にアップさせた(過去の作品の再録も含めた)集大成的な作品なのである。

「ここに至るまで時間がかかったと言えばかかったんですけど、いまの時期にファースト・アルバムを出せるのがすごくうれしいんですよ。ここで改めて〈やりたいことをやるしかない〉っていうところに帰ってる。オルタナティヴであることにこだわって、時流と違うことをめざしてやっていくんじゃなくて、〈この音楽を聴きたい!〉って思わせたいんですよね」(岸田研二、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 彼の口から出るフェイヴァリット・バンドはテレヴィジョン、ハスカー・ドゥ、ピクシーズ、ペイヴメント……と、ある意味まっすぐな流れで繋がっている。当然ながらその流れに沿うような音楽をクリエイトしてきた惑星なのだが、ここに来て、ついに彼らは自分たちだけのカラーを見つけたようだ。そのキーワードを、彼は〈エンジ〉という色で例える。

「1週間ぐらい前なんですけどね、ピン!ときたのは。圧倒的なエンジ色のグルーヴを伝えたいんですよ。赤黒い空間にうごめいてるようなグルーヴで、すべてを包み込みたい。アルバムに入ってる“夜を駆け抜けろ!”とか“カサブランカ”とかは、すごくエンジ色ですね。赤か黒ってハッキリ分かれるのが僕らにとってのパンクで、それはたとえば“WHITE WESTERN BOOTS”とか“BLOW UP”といった曲で。核にあるものは、激しさのなかに、しっかりと叙情性があるもの。それを求めてるんだなって再確認しましたね。そういう気持ちで作ったアルバムだから、伝わってくれればいいなと思ってます」。

 色が見えるロックなんて……でも、ほんとに見えるんですよ。

▼惑星の近作を紹介。


アルバム『惑星』と同時にUKでリリースされたインディー音源による編集盤『Noise』(Cherry Red)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年07月17日 11:00

更新: 2003年07月17日 19:39

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/宮本 英夫