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インタビュー

Jazztronik

プロデューサー、クリエイターとして多忙を極める若き才能が放つサマー・ミュージックとは?


「『SET FREE』よりわかりやすくなってると思いますよ。(リリースの早さ)は狙ったわけじゃなくて、夏に気持ち良く聴けるものがあれあばいいなあ、と思って。これはJazztronikが作った〈夏に聴いてもらいたい音楽〉なんです」。

 4月にフル・アルバム『SET FREE』を発表したばかりのJazztronikこと野崎良太。が、この6月には間髪入れずにメジャー・デビュー作となるミニ・アルバム『Horizon』をリリースする。ブラジル音楽を下敷きにしつつも日本語の女性ヴォーカル曲を加えて、これまでの作品中でも群を抜く耳馴染みの良さ。そのポップさは〈自分が関わっている場所をもっと知らしめたい〉という彼の思いの表れでもある。

「クラブ・ミュージックのリスナー以外にも聴いてもらいたいんです。僕がやってるハウスやクラブ・ジャズって、いまDJ的にはリズムもアイデアもおもしろい曲が増えているんですけど、このジャンルに入りこもうとする人たちのきっかけになるような曲がない。それなら入口を作って、興味を持ってくれる人を増やせればと思って。で、より広めるには日本語の力が必要だな、と。街やラジオでふと日本語の曲が流れてて、気になった人がこのアルバムを買ってくれたとしたら、ほかに入ってる曲はインスト、英語、ポルトガル語だったり(笑)。そこから〈こんな音楽もあるんだ〉ってわかってもらえたらこのアルバムを出した意味がある」。

 自身が「MONDO GROSSOやKEN ISHIIを聴いて衝撃を受けて」クラブ・ミュージックに入りこんだころは、「昼は日芸(日本大学芸術学部)の作曲科で現代音楽の勉強にはまり、夜はYO*CやUnited Future Organizationのイヴェントでボロボロになるまで踊ってた(笑)」という。もともと染み付いている間口の広さと現場感覚を持つ彼ゆえに、シーンに対しての役割にも自負は強い。

「DJやって、演奏して、ライヴもやれて……というスタンスで活動しているのは僕ぐらいかな、って思う。DJは僕よりすごい人たちはいっぱいいて、それならそういう(コアな)人たちを知ってもらうための役目を僕が買って出たいんです」。

 〈クラブは盛り下がった〉なんて言われる昨今。東京発クラブ次世代のJazztronikが若き救世主となり得る日は近いか?

▼Jazztronikの作品および参加作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年07月17日 12:00

更新: 2003年07月17日 19:59

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/吉岡 洋美