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インタビュー

DSK

緩急自在のビートと共に、目眩く展開する初ソロ・アルバム『Man and Guitar』!!


 ブラジル? 東京? アメリカ? スペイン? イギリス? そのすべてのようでどれでもない。まさしく異国を何か国にも渡ってずっと旅している感覚。それがいつのまにかリスナー各々の心象風景に重なってリアリティーを帯びていく生々しい過程こそが、小島大介ことDSKのファースト・ソロ・アルバム『Man and Guitar』のスリルだ。

「アルバム全体の世界観として、わりと聴いたことのない世界に連れていってくれるかなっていうところはすごい自信あるんですけどね」。

 瀧見憲司や井上薫(Chari Chari)などの手も借りつつ、予定調和を回避しながら繰り出される緩急自在なビートの上にチルアウトなコード感を湛えたギターとメロウな歌声を乗せるDSKは、決してひとつところに留まろうとはしない。『Man and Guitar』に溢れているのは、移動することで新しい場所を見ようとする感覚だ。

「車が高速でバーッて移動していく感じっていうか。で、その先が俺の場合すごいあったかいんだよね。包まれた感じっていうか。人の持ってるパワーでどこまでその先のものが見せられるか。そこにすごい焦点を当てたかな」。

 Port of Notesにおけるギタリスト/コンポーザーとしての彼を知る人にとっては、その〈包まれた感じ〉のなんともいえない心地良さを理解していただけるだろう。エクレクティックな音楽性をまとめ上げるのはあくまでもDSKの人肌感覚であり、それこそが『Man and Guitar』の本質だ。

「豊かな部分っていうのは人と共存することによって持てるものでしょ。彼女がいるから自分が優しいとか、母親がいるから自分がいまあるみたいなものって、嘘のない人間関係があってはじめて出来てくるわけだから。  だから『Man and Guitar』は自己完結で終わらせてないし、それは良かったなっていうか」。

〈用意はいい?〉と、21世紀に生きるコスモポリタンな音楽人、DSKがそっと旅に誘う。いつまでも同じ場所にいるあなたを、見たことのない世界へ連れ出すために。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年07月31日 13:00

更新: 2003年07月31日 22:10

ソース: 『bounce』 245号(2003/7/25)

文/内田 暁男