インタビュー

ACIDMAN

日本のロック・シーンに問いかける――大きな使命感を胸に、辿り着いた新作『Loop』!!


 そっちじゃないだろ、こっちだろ?――と、日本のロックの流れそのものを修正する気概に溢れた、圧倒的にエモーショナルで想像力豊かな音。ファースト・アルバム『創』のときから、その唯一無二っぷりは規格外であったが、セカンド・アルバム『Loop』はさらに凄い。メタル→メロコア→UKロック→日本のオルタナティヴ・ロックと、ひたすらグッとくる音楽だけを追い求めてきた3人の男が、ついにオリジネイターと呼べる位置に辿りついた、記念すべき瞬間である。

「この作品を作ってから、そういう自信がほんとに出てきた。作り方の根本が違うと思うんですよ、ほかのバンドとは。音に行く前に、いまどういう感情なのか、それをどう音にして、それがどこまでリンクしたらGOになるか。そういうところでやってるから」(オオキノブオ、ヴォーカル/ギター)。

 その〈感情〉とは何かというと、答えは非常にシンプルで明快だ。幼いころから〈未知のものを知る〉ことに執着してきたオオキの〈歌詩〉に、ACIDMANの世界観はすべて表されている。

「ずっとひとつのことしか言ってない――人間について。地球が終わっていくなかで、どう生きるか?というのがテーマ。人間がいる以上、絶対にこの下り坂は止められないっていう意識があるから」(オオキ)。

 ネガティヴな状況を反転させた強いポジティヴィティーが、美しいメロディーと体震える轟音によく溶け合う。制作には相当の苦労を伴ったようだが、これほど鮮烈な音世界を作り上げたACIDMANは、予想以上に規格外の大物であることを天下に示したといえる。

「作ってるときは、滅入るぐらい大変だった。スタジオで集中して、家に帰って、さらに曲に集中して、また次の日スタジオ行って……の繰り返し。出来た作品を聴いて〈ああ、いいのが出来て良かった〉って初めて思えた」(サトウマサトシ、ベース)。

「いつも困るんですけど、すごくいいとしか言えない。聴き飛ばせないんですよ。細かいところまで全部聴かないと気が済まなくなる」(ウラヤマイチゴ、ドラムス)。

「ロックがね、いま、ちょっと弱いから。ちょっと前には、そうじゃなかったはずなのに。BRAHMANとかHUSKING BEEとかナンバーガールとか、長く聴けるものが多かったのに、なんでいまこうなってるの?っていうのが、せつなくて不安だから。そういうのを聴いてたオレらみたいなのが、もっと頑張らないと。使命感です」(オオキ)。

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掲載: 2003年08月07日 12:00

更新: 2003年08月07日 18:09

ソース: 『bounce』 245号(2003/7/25)

文/宮本 英夫