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インタビュー

54-71

揺るがぬ自信を胸に新境地に突入! さらなる異能ぶりを発揮したニュー・アルバムをリリース!


 54-71が通算5枚目のアルバム『true men of non-doing』を発表する。前作同様にボブ・ウェストン(シェラック)がエンジニアを務めたが、スタジオはジョン・マッケンタイアのソーマだ。そこで54-71はさらに、ヴォーカルとギターがメインの通常のロック・バンドでは考えられない異能ぶりを発揮した。

「単純に、低音が出てるロックが聴きたかったっていうのがいちばんですね、メンバー全員。ウチは、とくにドラムとベースを元に曲を作っているから、曲全体のエッジをリズムで出したかった、ギターとかよりも。今回のレコーディングに関しては、10年ぐらい前に聴いたレッチリの『Blood Sugar Sex Magik』の衝撃が……あれぐらいパンチのある音がやりてぇなぁと思ってたんですけどね」(川口賢太郎、ベース:以下同)。

 54-71はヒップホップの音作りにも惹かれて低音を強調してきたが、今回は格別だ。川口もかなりミックスに携わり、54-71らしい極端な音のバランスになった。ギターの音は小さめゆえ逆に効果的で、さりげなく存在感をアピールしてる。54-71流ともいえる、ラップやフレーズの繰り返しを中心とした曲も健在だが、新境地の曲が多い。たとえば“emolition man”は、ベースとヴォーカルが54-71解釈のロリンズ・バンド。また“true man non-doing”は、「ある意味ぼくらが聴きたかったソウルやR&Bの形……余計な上モノが入ってない、より丸裸なファンク」と言う。さらに、いわゆる歌メロがはっきりわかる曲が増えたのも特徴だ。

「たぶん(歌メロを)ちゃんと作ったのは、ぼくのなかではトッド・ラングレンのつもりの“sunday morning”と、エリック・クラプトンとかCCRをウチのやり方でやってみた“i'm in love”ですかね。メロディー指定で、あいつ(ヴォーカルの佐藤慎吾)がどう歌う気だろう?と思って持っていったら、こんなふうに歌いましたね。笑えたからいいかなと(笑)。ぼくホントに、Fayray聴いて普通のポップスもいいなと思ったんで(笑)。ウチのスタイルで、どんどん音楽性を広げていきたいです。自信があったから出せたっていうのはありますよね」。

 何をやっても54-71になるという自信だ。とくに“i'm in love”は強力なラヴ・ソングの名曲で、感情がこもってヴォーカルも熱い。

「(歌詞の内容は)男が本気になったらこれぐらいだろう!っていうのを、中途半端な形じゃなくて出してみたかった。(佐藤は)むせてますからね、曲の途中で(笑)」。

▼文中に登場したアーティストの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年08月21日 17:00

ソース: 『bounce』 245号(2003/7/25)

文/行川 和彦