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インタビュー

SOFFet

みずみずしい青春の息吹と、夢見る少年の等身大の姿を詰め込んだファースト・アルバム!!


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 あ、思ってたよりもずっとカラフル。そしてハッピー。ある時は〈ぽかぽか〉、またある時は〈がむしゃら〉に、ワン・アンド・オンリーのグッド・ミュージックをめざす新世代ヒップホップ(と、いちおう言っておきます)の旗手・SOFFetのファースト・アルバム『Carnival』が良いですね。なんか、サウンド的にいろんな服を着替えて、自分たちがまず楽しんでいるような……。

「あ、うまい! まさに、いろんな服を着る感じ。それ、もらおう(笑)」(YoYo)。

「で、ところどころで脱ぐ感じ(笑)」(GooF)。

「1曲1曲が違う世界を持っていて、それが集まったアルバム。SOFFetの曲はショート・ムーヴィーっぽいって言ってくれた人がいたんですけど、それはうれしかった」(YoYo)。

 そもそもは、ヒップホップに出会う前から、ドリカムなどを2人でハモッて遊んでいたという幼なじみのこの2人。いちおう〈ヒップホップ〉と言っていいと思うのだが、ジャンル的なこだわりはまったくないから歌も歌っちゃう(→9曲目“足跡”を聴け! スウィートで切ない歌モノである)。サンプリング&ループもあればナマ演奏もバンバンこなす。一見ルールがないようで、でもどの曲にもちゃんとSOFFetらしさがあるのが強い。

「SOFFetの音は……なんていうのかな、僕たちが生活してきた場所の、時間の流れ方とか、空気感とか、それがSOFFetの音だと思うんですよ。細かいところは置いておいて、ちょっと田舎っぽいというか、武蔵小金井的というか(笑)」(GooF)。

「〈区〉じゃないよ、〈市〉だよと(笑)。かといって〈村〉でもない、微妙なところ」(YoYo)。

「〈市〉でも、〈区〉の音は作れると思うんですよ、頑張れば。でも、〈市〉の音はそこで育たないと作れない。そのギャップとかアンバランス感も、要素としては含まれてると思う。それが、カワイイ感とか、ぽかぽか感につながってると思う。ただ〈いい音〉というだけじゃ、語れない。言ってみれば、YAMAHAの4トラックでもSOFFetの音は作れる。わかりますかね?」(GooF)。

「クォリティーじゃないんですよね」(YoYo)。

「身近ですよね。近くに感じられるものが好きだし、そう思ってくれたらすごくうれしい」(GooF)。

 ちょっと抽象的なこのニュアンス、わかっていただけたら幸いである。アルバムの中にはほかにも、大馬鹿&シモネタ炸裂のやりすぎナンバー“~ファンファン大佐~”や、女性ヴォーカルをフィーチャーしてマジ泣けてくるほどセンチメンタルな“上京”や、ジャジーでアッパーなオシャレソング“Music Is My Love”や、ほんとにカラフルな曲が全13曲。そして全部聴いたあとに残る思いは、みずみずしい青春の息吹と、ピュアな夢見る少年の等身大の姿。芸達者なライミングの内側に込めた意味は、表面上のとっつきやすさ以上に深くストレートなものである。そこがいい。

「わかりやすいけど、幼稚な表現にはしたくないんですよ。表現も、ストーリーも」(GooF)。

「ネタを考える時にはまず、〈楽しい音楽を作りたい〉っていうのがあります。ウキウキするような表現をしたい。笑いが止まんないようなギャグの歌や、ウキウキする歌や、聴いてて笑顔になるような歌や、そういうものがいま世の中には少ないなと思うから。僕はそこがいちばん楽しめるし、第三者として聴いた時にも、そこを楽しんでほしいから。自分の気持ちを表現する、というのはあくまでも先にあるんですけど、やっぱり楽しい音楽を作りたいですね。それで、世代を超えられたらいいと思ってます」(YoYo)。

▼SOFFetの作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年08月28日 13:00

更新: 2003年09月02日 22:08

ソース: 『bounce』 246号(2003/8/25)

文/宮本 英夫