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インタビュー

311

ヒントはビートルズ!? 突き抜けた陽気さと、飛び抜けた完成度を誇る『Evolver』が登場!!


 311の最新アルバム『Evolver』は、彼らが長きに渡って作り上げてきたミクスチャー・ロックをさらに〈進化(Evolve)〉させた傑作だ。バンド自身が所有するスタジオにてすべてがレコーディングされた今作で、その音楽的な発展を支える精神となったのは、ほかでもない、あのビートルズだったという。メンバーのひとり、S.A.マルティネス(MC)はこんなふうに語る。

「このタイトルは、ビートルズのアルバム『Revolver』からのパクリでもあるんだ(笑)。実際に今作を作ってる間、よく聴いていたしね。でも、似たような音を出そうとしたってわけじゃないよ。音そのものより、あの4人のスピリットや、常に新しいことに挑戦していったチャレンジ精神とかを参考にしたのさ。で、俺たちも311らしさを保ちながら、同時にこれまで誰も俺たちからは想像しなかった音を鳴らしてみたいと思ったんだ」。

 単にハード・ロック/ヘヴィー・メタルと、ファンク/ヒップホップの威勢のいいところだけ寄せ集めたようなミクスチャー系ラウド・ロックとは違い、もともと優れたポップ・センスを発揮しながら、そういった多様なサウンドを融合させてきた311。そんな彼らだからこそ、そこにビートルズ的なメロディーラインとハーモニーを加えるという大技を見事にこなすことができたのだろう。以前から彼らの音楽の重要な一部となってきたレゲエに関しても、今回は一層深い次元で消化吸収され、完全に彼ら自身の血肉と化したリズムとなって鳴っている。そのオリジナリティーは、着実な積み重ねの成果として獲得されたものだ。

「例えば“Beyond The Grey Sky”って曲は、バラードなんだけどレゲエ調でもあって、言ってみればレゲエ・バラードなんだよね。今作に入ってるなかでも特にパワフルで、すごいナンバーなんだ。表情豊かでダイナミックで……ソフトなところがあるかと思えば、ガツンとくるところもあってさ。すごくユニークな曲で、聴いたことがないような音に仕上がってる。そういう曲が書けたことを誇りに思うよ」。

 文句なしに311の最高作と言い切れる『Evolver』、ぜひ聴いてくだされ!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年09月18日 17:00

ソース: 『bounce』 246号(2003/8/25)

文/鈴木 喜之