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インタビュー

ザ・スピンドルス

静かに燃える3人組が、諦念と希望の間から生み出したセカンド・アルバム『SPINDLES IN BEAT POPS』!


 ヘアやハッピーズをはじめ、80年代後期から脈々と連なる日本のモダニストの系譜に新たな1ページを加えること。それは、過去の音楽がほぼアーカイヴ化された現在、非常に困難な課題であるのは間違いない。しかし、前に向かって時が刻々と針を進めている以上、うなだれているわけにはいかないのだ。関西から東京に拠点を移した3人組バンド、ザ・スピンドルスのセカンド・アルバム『SPINDLES IN BEAT POPS』は、そんな諦念と希望の狭間でいまを生きようと悪戦苦闘を繰り広げる若者の青春グラフティーというべき、実に清々しいアルバムだ。

「もともとはヘアみたいなバンドが大好きで、ああいう空気を出したかったんですけど、いい意味でも悪い意味でも出せなかった(苦笑)。でも、僕らはモッズ、GSシーンにおって、和モノとかジャズのグルーヴを聴き始めた時、何年代のどういう音楽で~っていうところは抜きに、純粋に音としてカッコイイっていうところに反応してたんですよ。やっぱり、同じリズム&ブルーズやソウル、和モノをルーツにしていても、その捉え方は違うし、逆に開き直って、 僕らはもう少しポップなところを打ち出していこう、と。だから、僕ららしさとは何なのか? それがようやくわかってきました」(フジタサトシ、ヴォーカル/ギター)。

 ソウルやジャズ、ビート・ロックにサイケデリック・ロック、GSにフォーク、歌謡曲と、彼らのルーツ音楽の時代感を剥ぎ取ったうえで、そのポップな部分だけを抽出した本作。プロデュースは前作に引き続き、デキシード・ザ・エモンズのアベ・ジュリーであるが、キーボードに高野勲を迎え、細身のスーツを脱ぎ捨てたカジュアルな作品指向には彼らなりの答えが見え隠れしている。

「希望が感じられる? アベさんには〈スピンドルスには諦め感がある〉と言われてるんですけど、希望は捨てず(笑)」(フジタ)。

「なんか暗いバンドみたいですけど、そんなことはないですよ(笑)」(リョウ-K、ドラムス)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年09月18日 17:00

ソース: 『bounce』 246号(2003/8/25)

文/小野田 雄