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インタビュー

the band apart

メロコア/パンクを呑み込み、進化し続ける彼らが、ファースト・アルバムをリリース!


 2001年3月にリリースされたファースト・シングル“FOOL PROOF”から約2年半。その間、シングルやコンピレーション・アルバムへの参加など、ピンポイントなリリースはあったものの、オリジナル・アルバムのリリースが待たれていた4人組バンド、the band apartがその全貌をあきらかにするファースト・アルバム『K. AND HIS BIKE』を完成させた。

「一応、リリース・プランに則ってやってはいるんですけど、そこまでに何をやろうとかそういうことはまったく考えてないから、いくら急かされてもねぇ(笑)」(小暮栄一、ドラムス)。

 ストイックなメタルのコピー・バンドからスタートした彼らはHi-STANDARDの速さに惹かれて、メロコアのコピー・バンドを始め、オリジナル曲を作り始める過程で変化を遂げていったというが、彼らの作風はパンク・マインドを抱えつつ、構築的なソングライティングと圧倒的なインストゥルメンタル・スキルでクラブ・ミュージックやジャズ/フュージョンと向き合ったと言えるような、耳触りのまったく新しいサウンドであり、それは幾多の試行錯誤や熟成期間を要するものだ。

「キーボードを入れてみるっていう発想もあったりするんですけど、それを無理矢理ギターでやってみるほうに魅力を感じたりするんですよ。俺、カシオペアが大好きなんですけど、すごいチープなブラスが入ってるじゃないですか? 俺はギター・ロックに心揺さぶられてきた人間なんで、そのブラスがギターだったら格好良くなるんじゃないかっていう。そういう発想ですよね」(原昌和、ベース)。

 それだけにとどまらず、曲によっては複雑な打ち込みを生ドラムに変換する作業も行うというから、折衷的な彼らの音楽はその制作スタイルも折衷的と言える。こうした試みを飄々とやってのける彼らには空恐ろしさを感じるが、バンドの姿勢も非常にストイックであり、今後もさらなる発展が期待できそうだ。

「音楽的には自分たちが感動できるものをやりたいし、精神的にはこの4人の絆を強めるためにバンドがあるっていう考え方。聴く人? 全然関係ないっすね」(原)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年10月09日 11:00

更新: 2003年10月09日 16:43

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/小野田 雄