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インタビュー

モダーン今夜

11人の粋な仲間達が織り成す、〈モダーン今夜〉へようこそ!


モダーン今夜:中央がヴォーカルの永山マキ

〈モダーン今夜〉というバンド名を聞いて、どんなバンドを想像するだろうか?

筆者がはじめてこのバンド名を耳にした時、彼らがどういった活動をしているバンドなのか想像もできなかった。飄々としたユーモアを感じさせつつも、かといってコミカルな要素を全面に押し出そうという意思を感じない。とにかく、その名前が頭からなかなか離れてくれなかったということだけは事実だ。――彼らの正体は、ほとんどの曲のソングライティングを担当しているヴォーカルの永山マキを中心とした11人編成のビッグ・バンド。彼女が大学時代にアース・ウインド&ファイアのカヴァーを目的に結成したというバンド〈江古田モダン〉を母体に、幾たびかのメンバーチェンジを経て「なんとなく」現在のモダーン今夜へと至ってるという。少人数編成のバンドならまだしも、継続していくことも統制を取ることにも気苦労が伴うビッグ・バンドに、永山はなぜこだわるのだろうか。

「メンバーが多いと、それだけ多くの人の意見が聞こえてくるじゃないですか。例えば、1曲目の“星屑サンバ”は最初はサビがなかったんですよ。でも、メンバーの意見でサビを追加してみたらすごく良くなって。そんな風にみんなの意見を入れた曲が作りたかったんです。それに、メンバーが多いほうがいろんな音を出せて楽しいし(笑)」。

そう言いながら屈託のない笑顔で笑う彼女の書く曲は、ジャズ、歌謡、ファンクなど、多種多様な表現を取り入れつつも、決してそれらを演奏すること自体が目的化することなく、彼女自身の表現を伸びやかに伝えてくれる手段となっている。10月11日に発売されるデビュー・ミニ・アルバム『赤い夜の足音』からは、そんな永山のいきいきした感情が伝わってくる。

「おもちゃ箱をひっくり返したような音楽がやりたいんです。いろんなものが詰まっていて、みんなが楽しめるようなものを。おもちゃに対する懐かしさってどんな世代の人も持っているものじゃないですか。そういう、体温が通っていて世代もジャンルも関係ない、誰が聴いても伝わるような曲を作りたいんです」。

今様な〈表層的オシャレさ〉を追求することよりも、体温を伝えていきたいという気持ちは、永山の「音楽を通してリスナーと深いコミュニケーションを取っていきたい」という言葉からも伺えた。都内を中心に行っているライヴでは、「ファンの子がお母さんを連れて再び見にくることもある」という。ハイブリッドなサウンドではありながら、その核にあるのは郷愁や温かさといった人間臭さなのだ。今や日常的に使われることがほとんどない「モダン」というノスタルジックな言葉が、まさに彼女たちの姿を的確に表現しているのではないだろうか。

これは余談だが、永山は新宿のとある老舗バーで水曜深夜限定でママをしているのだとか。そんな話を聞くと、〈モダーン今夜〉とは、永山自身のことを指しているんじゃないか? なんて気すらしてくる。

・『赤い夜の足音』収録曲
1. 星屑サンバ
(試聴する)
2. うたかた花電車
3. 涙の雨(試聴する)
4. レジーナ(試聴する)
5. かくれんぼ

カテゴリ : ニューフェイズ

掲載: 2003年10月09日 17:00

更新: 2003年10月09日 18:08

文/ヤング係長