インタビュー

THE WEEKEND


 気付けばアッという間に定着していた80'sリヴァイヴァルの波。それは当然音楽界にもやってきていたワケで、このたびアルバム『Kiss Kiss』で日本デビューを飾ったカナダ出身のウィークエンドも、とびっきりキューティーでスペイシー&ファジーな80'sテイストたっぷりのパンキッシュ・ポップ・サウンドで、ボクらをドッキドキさせてくれる期待の星。なんてったってその〈ウィークエンド〉って名前だけでも、なにか起こりそうなワックワク感があるってもんよ!

「あるとき私が着ていたTシャツに〈ウィークエンド〉って書いてあったの。週末って、基本的には楽しく過ごす日でしょ。私たちの音楽も楽しくてイイ時間を過ごすためのものだから、バンド名にはピッタリだったのよ」(アンドレア・ワッセ:以下同)。

 すでに、地元カナダではカレッジ・ラジオ・チャートを荒らしまくってて、いくつかのTVドラマでも曲が使用されるほどの人気っぷりを誇る彼女らだが、バンド結成のきっかけは普通に「みんなもやってるコトだから」。高校の友人と6、7年前にスタートさせ、それがいまやウィーザーやグリーン・デイのオープニング・アクトを務めるまでになったってんだから大したもん!

「自分でも驚くようなスゴイことがつぎつぎと起こっているのよ!」。

 現在、アンドレアと共に唯一のオリジナル・メンバーであり、三度の飯よりディーヴォを愛するキーボード担当のリンク・Cを含め、メンバーはみんな25、6歳。つまり、幼年期からの多感な時期を80's文化にどっぷり漬かって過ごしてきた世代ってワケ。ウィークエンドの音楽に、「プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角」あたりの80's青春映画を観たときのような、どこか懐かしくて胸キュンなフレーヴァーがたくさん散りばめられているのには、そういった背景がナチュラルに存在するからと見た!

「〈プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角〉は大のお気に入りよ。モリー・リングウォルドの映画の中でもいちばん好き。それから〈初体験リッジモント・ハイ〉や〈グーニーズ〉なんかも大好き! このへんは、音楽も含めてかなり胸キュン物ね!」。

 う~ん、わかっていらっしゃる! 誰だ、懐かしさのあまり昔のビデオ・カセットを引っ張りだそうとしてるのは? さらに影響を受けた音楽アーティストについても「ビリー・アイドルやデヴィッド・リー・ロスも好きだったけど、やっぱりブロンディやシンディ・ローパーにマドンナ。それとジョーン・ジェットに、ハズせないのはスティーヴィー・ニックス!」と、さすが“80's Rock Star”なんて曲を歌ってるだけのことはあって、これまたガチンコに80'sなお答え。こうしてみると、やはり女性アーティストに対して強く惹かれていたようだけど、自分も女性(がフロントの)アーティストとして〈表現する側〉になったいま、ズバリ〈ウィークエンドの世界〉をどのように聴き手に楽しんでもらいたい?

「私は自分の日記を書くように感情をそのまま歌詞にしているんだけど、聴く人がそこに共感できるといいなと思ってるのよ。女性に限らず人はいろんな悩みを抱えているから、私たちの音楽を聴くことによって、胸のつかえをおろすことができればいいなって。で、あるがままの状態を楽しんでハッピーな時間を過ごせるようにね」。

 音楽を続けている理由を「音楽そのものと、音楽をやることによって得られるライフスタイルが好きだから」とピュアに語るアンドレア。最後に、まだウィークエンドを聴いたことがない人に向けて、3つの形容詞で自分たちのバンドを言い表してもらいましょうか!

「楽しくて、うきうきした元気な感じで、でも危険、ってとこかな?(笑)」。

 10月には来日公演もあるので、彼女らの繰り出すキュートな胸キュン・ポップ・ワールドをぜひとも体感しに行くべし!!

PROFILE

ウィークエンド
カナダ出身の5人組。現在のメンバーは、アンドレア・ワッセ(ヴォーカル/ギター)、ライアン・フォード・フーロ(ギター)、マット・ベケット(ベース)、ジェイ・ウェストマン(ドラムス)、リンク・C(キーボード)。95年、高校生だったアンドレアを中心にリンクらが加わるかたちでバンドを結成、地元でのライヴを中心に活動を始める。2000年にはファースト・アルバム『The Weekend』を発表し、カナダのキャンパス・ラジオ・チャートでは16週に渡ってトップ10入りするなど、好評をもって迎えられた。2002年にはアイアン、マット、ジェイが加入し、新作のレコーディングを開始。このたびセカンド・アルバムとなる『Kiss Kiss』(Teenage USA/Imperial)がリリースされたばかり。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年10月16日 19:00

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/ヤマダ ナオヒロ