インタビュー

Audio Active

結成10周年を迎えて、過去最高のトビを記録する新作をドロップ!!


 十年ひと昔とよくいわれるが、AUDIO ACTIVEは今年デビュー(祝)10周年を迎える。彼らはそんな〈ひと昔〉前から現在に至るまで、常に進化し続けている。が、根本的に変化はしていない。それは、AUDIO ACTIVEの根底にある部分が変わっていないという意味だ。

 93年に発表したデビュー・アルバム『AUDIO ACTIVE』が、『Tokyo Space Cowboy』として、彼らの良き先輩であり先生であり兄貴であるというエイドリアン・シャーウッドが主宰するイギリスのON-Uよりリリースされたのは、翌94年のことだ。その後、彼らはON-Uの一員としてツアーにも参加する。当時のON-Uの雰囲気をこう語る。

「溜まり場になってるエイドリアンの家に集まってきて、今度レコーディングしょうぜ、ってノリで新しいプロジェクトが始まったり。ただ、どうしょうもないヤツは参加できるわけもなくて……(笑)」(2DD)。

 こと日本においてダブというもの自体が今ほど知られてない時期に活動を始めた彼らが、ダブというキーワードの語り口の多さ、そして一言では表現できないということを世の中に知らしめた存在の一端であると、客観的に思う。が、彼ら自身はその自負はないと言う。その活動歴からしたら王道たるべき彼らだが、マッハの閃きで煙に巻き、イイ意味で捉えきれないその存在は、まさに〈キング・オブ・横道〉。アウトサイダーであり、孤高の存在。時代に迎合せず、音楽で果てない実験を繰り返してる彼らならではの称号だ。

「スカしてるんですよね。最終的にどうする?って時にスカした方向に行っちゃう傾向があります。ひねくれてることはひねくれてる」(NANAO)。

「お約束とおりなものには、ゲェ!ってとこはあるんですよね」(2DD)。

「でも、だからダブが好きなんじゃん、って話なんで」(NANAO)。

「去年までは気付きもしなかった」という記念の年を迎え、彼らは6枚目のオリジナル・アルバム『BACK TO THE STONED AGE』を3年ぶりにリリースする。これは、初となるセルフ・プロデュース・アルバムだ。今作はこれまでのアグレッシヴな側面だけではなく、より深みを増した進化/深化した側面が目立つ。そして決まりきった決まりを斬るかのように、今回も自分たちの不変の〈キマリ〉を見せつける。

「これって選ばれた12曲で、それぞれのミックス違いもあるわけで。アグレッシヴなミックスもあるんですよね。でも、チョイスしなかったですよ。(〈じゃあなんで選ばなかったのか?〉という問いに)……なぜか、選ばなかったんですよね。スカし具合なんでしょうね、そこが」(2DD)。

「(ミックスを選ぶ上で)意見が一致する部分もありますけど、あまり一致しないですね……」(KASAI)。

 メンバーが必ずしも同じ意見ではないが、「信頼みたいなものはある」「それぞれが興味を持ってる」というある種のグループ内ライヴァル関係である4人、それが2003年現在のAUDIO ACTIVEだ。だからこそ生まれるであろう、この強靱さ。このタフな音はまたしても聴くものを〈煙〉に巻く!

▼AUDIO ACTIVEがこれまでに発表してきた作品の一部を紹介(なお、12月には現在入手困難になっている初期の4タイトルが一挙リイシューされる予定とのこと!!)

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掲載: 2003年10月16日 19:00

更新: 2003年10月30日 13:50

ソース: 『bounce』 247号(2003/9/25)

文/池田 義昭